FOSBとは、ウェハメーカーからデバイスメーカーへ300mmウェハを出荷・輸送するための密閉容器です。FOUPと同じ前面開口・25枚収納でロードポートに載せられますが、用途はファブ内搬送ではなく工場間輸送で、天面はOHT用フランジではなくハンドル形状になります。空容器はウェハメーカーへ返送され、洗浄・検査を経て再利用されます。
目次7項目
- 定義・解説
- 図解
- 紛らわしい言葉の切り分け
- よくある質問
- 設備の製造メーカー
- 関連用語
- 比較・違いを学ぶ
定義・解説
FOSB(Front Opening Shipping Box)は、ウェハメーカーからデバイスメーカーへ300mmウェハを出荷・輸送するための密閉容器です。FOUPと同じ前面開口・25枚収納の形状を持ち、ロードポートに直接載せられる互換性を備えていますが、用途はファブ内搬送ではなく「工場間の輸送」に特化しています。
FOUPとの違いは、ファブ内の自動搬送(AMHS)で使うか、外部輸送で使うかという用途の差にあります。FOUPは天面にOHT用のロボティックフランジを持ち、耐久性と繰り返し使用に耐える高価な仕様です。FOSBは出荷用のため、天面はハンドル形状で、輸送中の振動・衝撃からウェハを守る保持構造と、輸送コストに見合った価格設計が重視されます。
材質は帯電防止処理を施したポリカーボネートやPBT系樹脂で、アウトガスと発塵を抑えた成形が要求されます。ウェハ表面の自然酸化膜の成長やヘイズ(曇り)の発生を防ぐため、N₂パージ機能を備えた仕様や、真空パックと併用する出荷形態も採られます。ベアウェハだけでなく、エピウェハやSOIウェハなど高付加価値ウェハの輸送でも標準です。
受け入れ側のファブでは、FOSBをそのままロードポートに載せてウェハを装置へ供給するか、いったんFOUPへ移し替えて運用します。移し替え工程はパーティクル混入のリスクがあるため、専用のウェハトランスファー装置が使われます。空になったFOSBはウェハメーカーへ返送され、洗浄・検査を経て再利用されるのが一般的です。
主要メーカーはミライアル・信越ポリマー・Entegris・Gudeng Precision(台湾)などです。ウェハの出荷量に比例して需要が動くため、シリコンウェハ市況と連動性の高い部材でもあります。
図解
FOUPは工場内の搬送用、FOSBは工場間の輸送用。見た目がよく似た2つの容器ですが、拠って立つ規格が違います。 FOUPはファブ内搬送用として SEMI E47.1、 FOSBは出荷・輸送用として SEMI M31 が機械仕様を規定しています。 用途が違えば要求も違う、という関係が規格の分かれ方にそのまま出ています。
| 項目 | FOUP | FOSB |
|---|
| 主な機械規格 | SEMI E47.1 | SEMI M31 |
| 使う場所 | ファブ内の搬送・保管 | ウェハメーカーからデバイスメーカーへの輸送 |
| 天面 | OHT搬送用のロボティックフランジ | 人が持つためのハンドル |
| ウェハ保持 | スロットに載せる(保持は軽い) | リテーナで押さえ、振動・衝撃に耐える |
| 収納枚数(300 mm) | 25枚 | 25枚 |
| 想定する扱い | ファブ内で繰り返し使用し、定期的に洗浄・再生 | 納品後に空容器をウェハメーカーへ返却し、洗浄して再利用 |
| コスト | 高い(耐久性と搬送機構が要る) | 相対的に低い(輸送コストとの見合いで設計) |
前面開口である点と25枚収納である点は共通なので、 FOSBもそのままロードポートに載せてウェハを供給できます。 この互換性があるおかげで、受け入れ側は必ずしも移し替えを必要としません。
ファブ内のOHT搬送は加減速が制御された穏やかな移動ですが、 工場間の輸送はトラック・航空機・フォークリフトを経由し、 振動と衝撃の大きさが桁違いです。FOSBがFOUPと最も違うのはこの前提への対応で、 ウェハをスロットに載せるだけでなく、リテーナ(押さえバネ)で上から拘束します。
拘束が弱ければ輸送中にウェハがスロット内で跳ね、 縁の欠け(チッピング)や裏面の擦り傷、パーティクル発生につながります。 逆に強すぎれば接触部に応力が集中し、それ自体が損傷源になります。 この押さえ加減の設計がFOSBの中核で、実質的に輸送用パッケージとして評価されます。
FOSB単体で出荷されることはまれで、通常は多重の梱包と組み合わせます。
- N₂封入:容器内を窒素で置換し、自然酸化膜の成長とヘイズ(曇り)の発生を抑える
- 真空パック:FOSBごとアルミ蒸着フィルムで包み、水分と酸素の透過を遮断する
- 外装箱と緩衝材:落下・衝突エネルギーを吸収する。輸送試験で加速度を実測して仕様を決める
守るべき対象がベアウェハとは限りません。エピウェハやSOIウェハのように、 すでに大きな加工費が乗った高付加価値ウェハほど輸送事故の損失が大きく、 容器と梱包にかけるコストが正当化されます。
デバイスメーカーに到着したFOSBの扱いは2通りです。 そのままロードポートに載せて装置へ供給する運用と、 いったんFOUPへ移し替えてからファブ内搬送に乗せる運用です。
移し替えはウェハを1枚ずつ持ち替える工程になるため、パーティクル混入と取り扱い傷のリスクが増えます。 それでも移し替えるのは、外部から来た容器をそのままファブ内のAMHSに流したくない(清浄度管理の系を分けたい)という理由が大きく、 専用のウェハトランスファー装置が使われます。
空になったFOSBはウェハメーカーへ返送され、洗浄・乾燥・検査を経て再び出荷に使われます。 容器は消耗品ではなく循環資産で、返却率と洗浄サイクルが実質的な調達コストを決めます。 需要がシリコンウェハの出荷枚数に直結するため、 ウェハ市況と連動性の高い部材でもあります。
紛らわしい言葉の切り分け
FOSBとFOUP。違いは使う場所です。FOUPは工場の中の自動搬送で繰り返し使う丈夫な容器です。FOSBはウェハメーカーからの出荷・輸送用の容器で、輸送中の振動対策とコストが重視されます。どちらも同じロードポートに載せられます。 比較記事 →
よくある質問(FAQ)
FOSBとFOUPの違いは何ですか?
用途が異なります。FOUPはファブ内でOHTによる自動搬送に使うため天面にロボティックフランジを持ち、繰り返し使用に耐える高耐久仕様です。FOSBはウェハメーカーからの出荷・輸送用で、天面はハンドル形状、輸送時の振動・衝撃対策とコストが重視されます。
FOSBで届いたウェハはそのまま使えますか?
FOSBはFOUPと同じFIMS準拠のため、ロードポートに直接載せて使うことも、いったんFOUPへ移し替えて運用することもできます。移し替えはパーティクル混入のリスクがあるため、専用のウェハトランスファー装置が使われます。
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