FOUPとは、300mmウェハ25枚を10mmピッチで収め、ファブ内で搬送・保管するための前面開口の密閉容器です。SEMI E47.1で寸法とインターフェースが規定されているため、容器・装置・搬送システムのメーカーが違っても噛み合います。ロードポートにドッキングするとドアが装置側の壁ごと内側へ開き、ウェハが外気に触れないまま装置へ渡されます。
目次8項目
- 定義・解説
- 図解
- 紛らわしい言葉の切り分け
- 設備の製造メーカー
- 関連する製品
- 関連用語
- 比較・違いを学ぶ
- 出典・参考資料
定義・解説
FOUP(Front Opening Unified Pod)は、シリコンウェハを外部環境の汚染(パーティクル、湿気、化学物質)から保護しながら安全に搬送・保管するための専用密閉容器です。SEMI E47.1が寸法とインターフェースを規定しているため、容器・装置・搬送システムのメーカーが異なっても互換性が保たれます。200mmウェハ時代のSMIF(Standard Mechanical Interface)ポッドの後継として、300mmウェハ製造ラインに広く導入されています。
FOUPは、クリーンルーム内のウェハ搬送システム(AMHS:Automated Material Handling System)において中核的な役割を果たします。天井に設置されたレール上を走行するOHT(Overhead Hoist Transport)ロボットがFOUPを自動搬送し、各製造装置のロードポートに自動的に供給します。作業者がウェハに直接触れることなく、完全自動化された搬送を実現しています。
FOUPの内部は、不活性ガス(N₂)パージ(窒素充填)により酸素・水分・有機物汚染から遮断されます。特に自然酸化膜の形成を嫌うCu/Low-kプロセスや、EUVレジストの劣化を防ぐ工程では、N₂パージFOUPの重要性が高まっています。ウェハは垂直方向に25枚(300mm標準)をスロットに格納します。
FOUP本体はPBT(ポリブチレンテレフタレート)などの帯電防止プラスチックで成形され、内部のウェハ支持部(ノッチガイド、サポートリブ)の寸法精度が求められます。FIMSインターフェース(Front-Opening Interface Mechanical Standard)によりロードポートとの機械的整合性が規定されています。
主要メーカーはEntegris(エンテグリス)、信越ポリマー、ミライアル、Gudeng Precision(台湾)などです。先端ロジック・メモリファブの稼働率向上のためのスマートFOUP(センサー内蔵でウェハ状態をリアルタイム監視)の開発も進んでいます。
図解
Front Opening Unified Podの略。工場間の輸送にはFOSBを使う。FOUPは特定メーカーの製品名ではなく、SEMI標準で寸法とインターフェースが規定された共通部材です。 どのメーカーのFOUPでも、どの装置のロードポートにも載る ── この互換性が300 mmファブの全自動搬送を成立させています。
| 規格 | 規定している内容 |
|---|
| SEMI E47.1 | 300 mmウェハの搬送・保管に用いるFOUPの機械仕様 |
| SEMI M31 | 300 mmウェハの輸送・出荷に用いるFOSB(前面開口出荷箱)の機械的特徴の仕様 |
| SEMI E15.1 | 300 mm装置のロードポートの仕様(装置とファブの物理インターフェース) |
| SEMI E57 | キネマティックカップリング(位置決めピン)の機械仕様 |
| SEMI E84 | AMHSとロードポート間でキャリアを受け渡すパラレルI/Oインターフェース |
| SEMI E87 | キャリア管理(CMS)─ ホストと装置間のキャリア搬送に関する通信仕様 |
E47.1が容器そのもの、E15.1が受け側のロードポート、E57が両者を機械的に位置決めするピン、 E84とE87が受け渡しの信号と管理を担当します。容器・装置・搬送システムが別会社の製品でも噛み合うのは、 この分業があるためです。
200 mm時代のオープンカセットは上面が開いており、クリーンルーム全体を高清浄度に保つ必要がありました。 300 mmではこの考え方を反転させ、清浄度を保つ範囲を容器と装置内部だけに絞る ミニエンバイロメント方式が採られています。
FOUPはロードポートにドッキングすると、 容器のドアと装置側の壁が一体で内側へ開き、そのままEFEMの 清浄空間へ繋がります。ウェハが外気に触れる瞬間が原理的に存在しないため、クリーンルーム本体の清浄度要求を下げられ、 ファブ全体の建設・運用コストが下がります。上面ではなく前面が開くのは、 この「壁ごと開く」構造を成立させるためです。
FOUPが守っているのはパーティクルだけではありません。 工程間で待機している間に、ウェハ表面では自然酸化膜の成長、 水分やアミン系ガスの吸着、金属汚染が進行します。 これを止めるために窒素を流し続けるのがN₂パージFOUPです。
効き目が大きいのは、露光後のレジストが待機する区間と、 金属膜を成膜した直後の区間です。前者では環境中の微量アミンが化学増幅型レジストの酸を失活させ、 パターン寸法がずれます。後者では表面が酸化して接触抵抗が上がります。 いずれも「次工程まで何時間以内」というキューイングタイム制約として管理されますが、 N₂パージはこの許容時間そのものを伸ばす手段になります。
300 mmウェハは1枚あたり約125 gあり、25枚で3 kg強になります。 FOUP本体を含めた総重量はおおむね10 kg前後で、これが天井のレールを走るOHTで吊り上げられ、ファブ内を移動します。AMHSの搬送能力・レール強度・ロードポートの機構は、 すべてこの重量を前提に設計されています。
ウェハは10 mmピッチのスロットに水平に保持されます。300 mmウェハの厚さは775 µm程度と 直径に対して極端に薄く、自重で中央がたわむため、支持位置とリブ形状の設計はウェハハンドリング上の重要な設計項目です。 容器は帯電防止処理を施した樹脂で成形され、アウトガスと発塵を抑えた材料が選ばれます。
外部へ出荷するときはFOUPではなくFOSBを使います。 両者の違いは FOSBとFOUPの比較記事 で整理しています。
紛らわしい言葉の切り分け
FOSBとFOUP。違いは使う場所です。FOUPは工場の中の自動搬送で繰り返し使う丈夫な容器です。FOSBはウェハメーカーからの出荷・輸送用の容器で、輸送中の振動対策とコストが重視されます。どちらも同じロードポートに載せられます。 比較記事 →
この用語に関連する製品
型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。
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