最終更新 2026-10-10

OHTとは(天井走行式搬送車)

OHT (Overhead Hoist Transport)

OHT(天井走行式搬送車)とは、クリーンルームの天井レール上を走行し、FOUPを装置間で自動搬送する無人搬送車です。床面を占有せず、ダウンフローの気流上も有利なため300mmファブの標準になりました。1つのファブに数百〜千台が走り1日数万回搬送するため、渋滞を避ける搬送スケジューリングがサイクルタイムを左右します。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

OHT(Overhead Hoist Transport)は、クリーンルームの天井に敷設したレール上を走行し、FOUPを装置間で自動搬送する無人搬送車です。AMHS(自動搬送システム)の実行部隊であり、300mmファブでは工程間のウェハ移動をほぼ全面的にOHTが担っています。

OHTが天井を走る理由は明確です。床面は装置と作業動線で占有されており、床走行のAGVでは経路が制限され交通渋滞が起きます。天井空間を使えば装置レイアウトに干渉せず、最短経路を確保できます。さらにクリーンルームは天井から床へ一方向気流(ダウンフロー)が流れるため、天井付近で発生した粒子は装置上部を通り抜け、ウェハに到達しにくいという清浄度上の利点もあります。

動作は、レール上を走行してロードポート上部で停止し、ホイスト機構でFOUPを鉛直に吊り下ろして載置する、という手順です。吊り下ろし時の揺れはFOUP内のウェハに衝撃を与えるため、振れ止め制御と加減速の最適化が求められます。1台のファブに数百〜千台規模のOHTが走り、1日あたり数万回の搬送が発生します。

運用の中核は搬送スケジューリングです。搬送要求はMESから発行され、AMHS制御システムが車両割り当てと経路を決定します。特定エリアに搬送要求が集中すると渋滞が発生し、装置の待ち時間(アイドル)が増えてファブ全体のサイクルタイムが悪化するため、混雑予測と経路分散のアルゴリズムが生産性を大きく左右します。ボトルネック装置の前ではストッカーやサイドバッファと連携し、仕掛品の滞留を吸収します。

主要メーカーはダイフク・村田機械(Murata Machinery)で、この2社が世界市場を二分しています。新設ファブでは装置搬入前にOHTレールの敷設が行われるため、ファブ建設スケジュールとも密接に関係する設備です。

図解

OHT(天井走行式搬送車)がFOUPを運ぶ流れ
床を使わず、清浄な空気の流れも妨げにくいため、300mm工場の標準になった。

この用語を扱う職種

ファブ運営・インフラ生産技術エンジニア(半導体)ファブ運営・インフラAMHS(自動搬送システム)エンジニア

よくある質問(FAQ)

OHTはなぜ天井を走るのですか?
床面は装置と作業動線で占有されており、床走行のAGVでは経路が制限され渋滞が起きるためです。天井空間なら装置レイアウトに干渉せず最短経路を確保でき、さらにクリーンルームのダウンフロー気流により、天井付近の粒子がウェハに到達しにくい利点もあります。
OHTの搬送渋滞は生産にどう影響しますか?
特定エリアに搬送要求が集中すると車両が滞留し、装置がウェハ待ちで空転します。装置の稼働率低下はそのままファブ全体のサイクルタイム悪化につながるため、混雑予測と経路分散のアルゴリズム、ストッカーやサイドバッファとの連携が重要になります。

設備の製造メーカー

関連する装置カテゴリ

同じトピックの用語

ウェハ搬送・工場自動化 のトピックで関連する用語です。

同じトピックの企業

シンフォニアテクノロジー日本Azenta(旧 Brooks Automation)米国ミライアル(MIRAIAL)日本信越ポリマー日本TDK日本

比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. SEMI「SEMI International Standards: Compilation of Terms(Updated 1218)」(2026/10/10 確認)