最終更新 2026-10-07

イットリア溶射コーティングとは(耐プラズマ被膜)

Yttria Coating / Plasma-Resistant Coating

イットリア溶射コーティングとは、Y₂O₃をチャンバー内部品の表面に成膜し、プラズマによる浸食とパーティクル発生を抑える耐プラズマ被膜です。フッ素と反応して生成するYF₃が安定なため、アルミナ比で削られる速度が桁違いに小さくなります。近年はYOF・YF₃系被膜や、緻密なエアロゾルデポジション膜への置き換えも進んでいます。

目次6項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ

定義・解説

イットリア溶射コーティングは、酸化イットリウム(Y₂O₃)を溶射などの手法でチャンバー内部品の表面に成膜し、プラズマによる浸食(エロージョン)とパーティクル発生を抑える表面処理技術です。エッチング装置のライナー・シャワーヘッド・ESC表面・リング類など、フッ素系・塩素系プラズマに曝される部品のほぼ全てに適用されます。

Y₂O₃が選ばれる理由は、フッ素ラジカルと反応して生成するYF₃が安定で不揮発性のため、表面が保護膜として働き浸食が進みにくいことにあります。アルミナ(Al₂O₃)が生成するAlF₃に比べて安定性が高く、削られる速度が桁で小さくなるため、部品寿命が延びると同時に、削られた粒子がウェハに落ちるパーティクル欠陥も減ります。

成膜手法は、大気プラズマ溶射(APS)が量産の主流ですが、より緻密で低パーティクルな膜が必要な用途には、サスペンションプラズマ溶射(SPS)やエアロゾルデポジション(AD法)、PVD/ALDによる緻密膜が用いられます。溶射膜は本質的に微小な気孔と割れを含むため、気孔率と界面密着力が寿命とパーティクル性能を決める指標になります。

近年はイットリア単体だけでなく、フッ化イットリウム(YF₃)やイットリウム・オキシフルオライド(YOF)などの含フッ素系被膜が採用されています。プロセス中に生成するフッ化物層と組成を近づけることで、体積変化による割れや粒子の脱落を抑える狙いです。プロセス条件(ガス種・パワー・温度)ごとに最適な被膜が異なるため、装置メーカーと表面処理業者の共同開発が行われます。

この分野は日本企業の存在感が大きく、溶射国内最大手のトーカロをはじめ、複数の表面処理事業者が装置部品の新品コーティングと使用済み部品の再生を担っています。ファブにとっては消耗部品コスト・PM周期・パーティクル歩留まりを同時に動かせるレバーであり、投資対効果の高い領域です。

図解

チャンバー部品の材料ごとの耐プラズマ性の比較とイットリア溶射の位置
順番は相対的な目安。エアロゾルデポジションなどの緻密な膜も使われる。

この用語を扱う職種

装置・材料メーカー装置部品・消耗品エンジニア

よくある質問(FAQ)

なぜイットリア(Y₂O₃)が耐プラズマ被膜に使われるのですか?
フッ素ラジカルと反応して生成するYF₃が安定で不揮発性のため、表面が保護膜として働き浸食が進みにくいからです。アルミナが生成するAlF₃に比べ安定性が高く、削られる速度が桁で小さくなるため、部品寿命とパーティクル性能の両方が改善します。
溶射以外にどんな成膜方法がありますか?
量産の主流は大気プラズマ溶射(APS)ですが、より緻密で低パーティクルな膜が必要な場合はサスペンションプラズマ溶射(SPS)、エアロゾルデポジション(AD法)、PVD/ALDによる緻密膜が使われます。気孔率と密着力が寿命を決める指標です。
イットリア以外の耐プラズマ被膜はありますか?
フッ化イットリウム(YF₃)やイットリウム・オキシフルオライド(YOF)などの含フッ素系被膜が採用されています。プロセス中に生成するフッ化物層と組成を近づけることで、体積変化による割れや粒子の脱落を抑える狙いがあります。

設備の製造メーカー

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