チャンバーライナー(デポシールド)は、プロセスチャンバーの内壁を覆い、堆積物やプラズマによる損傷から本体を保護する内張り部品です。反応生成物はチャンバー壁にも付着するため、本体アルミが直接汚染・腐食されるのを防ぎ、堆積物ごと取り外して洗浄・交換できるようにするのがライナーの役割です。
材質はアルミニウム母材にイットリア(Y₂O₃)やアルミナを溶射したもの、石英、SiC、セラミック焼結体などが使われます。要求されるのは耐プラズマ性(スパッタされにくい)・低パーティクル・熱膨張の整合であり、特にフッ素系プラズマに曝されるエッチングチャンバーでは、イットリア系コーティングの品質が部品寿命とパーティクル性能を決めます。
ライナー表面の堆積物は剥離するとパーティクルになるため、あえて表面を粗面化(ブラスト処理)して膜の密着性を高め、剥離しにくくする設計が一般的です。堆積が限界に達する前に交換または洗浄を行う必要があり、この交換周期がチャンバーのPM(予防保全)サイクルそのものになります。
ライナーは温度制御される場合もあります。壁温を一定に保つことで反応生成物の再付着挙動を安定させ、プロセスの立ち上がり(ファーストウェハ効果)を抑える狙いがあります。壁の状態がプロセス結果に影響することは「チャンバーコンディション」と呼ばれ、シーズニング(ダミーウェハによる慣らし運転)で管理されます。
使用済みライナーは、精密洗浄・剥離・再コーティングを経て再生されるのが一般的です。トーカロをはじめとする溶射・表面処理事業者と部品洗浄事業者が再生市場を形成しており、ファブの消耗品コストと廃棄物削減の両面で重要な位置を占めています。