High-NA EUV露光(High Numerical Aperture EUV Lithography)は、開口数(NA:Numerical Aperture)を従来のEUV装置の0.33から0.55に拡大した次世代EUV露光技術です。NAを高めることで解像度が向上し、従来EUV比で約1.7倍微細なパターン(シングル露光で13nm以下のハーフピッチ)を形成できます。ASMLが開発するEXE:5000シリーズが唯一の商業装置であり、2024〜2025年にIntel・TSMC・Samsungへの初号機が納入されました。
High-NA EUVの主要技術革新は光学系の大型化にあります。NAを0.33→0.55に拡大するため、最終集光ミラー(最終ミラー)の径が従来比で大幅に増加し、装置高さは約15m・重量は約350トンに達します。視野サイズは従来の26×33mm²から11×33mm²に縮小するため、同一ダイを露光するのに必要なショット数が増え、スループット確保が課題です(EXE:5000:毎時100〜185枚)。
High-NA EUVの導入ロードマップは各社で異なります。Intel 14A(2026〜2027年量産予定):最も早い導入を表明しており、RibbonFET(GAA)+PowerVia(BSPDN)+High-NA EUVを組み合わせた超先端プロセスを計画。TSMC A14(仮称、2027〜2028年):N2/A16のHighNA版として開発中。Samsung SF1(2027年以降):Samsung Foundryも評価機を導入済み。
High-NA EUV露光用のフォトレジスト(レジスト)は、従来EUV用と異なる特性が求められます。視野サイズ縮小により1枚ウェハ当たりの露光ショット数が増加するため、高感度かつラインエッジラフネス(LWR)の低いレジストが必要です。Metal-Oxide Resist(MOR)が有望候補として開発が進んでおり、JSR・信越化学・東洋合成・Inprovaが主要サプライヤーです。また、EUVマスクのアクティニック検査(13.5nm光による欠陥検査)にはLasertecのACTIS装置が必須です。
High-NA EUV装置1台の価格は3.5億ユーロ(約550億円)超と報じられており、EXE:5000の納入台数は2025〜2026年で合計10〜20台程度の初期段階です。装置価格・設置コスト・消費電力(1台で1MW超)・クリーンルーム面積の観点から、採用できるのは資本力のある最先端ファウンドリ(TSMC・Samsung・Intel)に限定されます。High-NA EUVへの投資額はASMLの最大の成長ドライバーとなっており、2026〜2030年の業績を左右する最重要製品です。