セルキャパシタ(Cell Capacitor)は、DRAMメモリセルの基本構成要素の一つで、情報(0または1)を電荷として蓄積するコンデンサ構造です。DRAMの1セルは1つのアクセストランジスタ(1T)と1つのキャパシタ(1C)から構成される1T1C構造です。キャパシタが十分な電荷量(容量:fF単位)を保持できることが、データ保持特性(リフレッシュ間隔)とS/N比を決定します。
DRAMの微細化が進むにつれ、セルキャパシタの面積が縮小し、必要な電荷量(最低20fF以上)を維持することが技術的課題となっています。対策として①キャパシタの3次元化(スタック型:ハイアスペクト比の筒状構造を積み上げる、またはトレンチ型:シリコン基板内に深い溝を掘る)、②誘電体材料の高誘電率化(SiO2→HfO2・ZrO2・SrTiO3など高k材料)、③電極面積の増大(ルテニウム電極のテクスチャリング)が行われています。
スタック型キャパシタ(Stacked Capacitor)では、アスペクト比が50:1を超えるシリンダー(筒)状のキャパシタが主流です。シリンダー内外の表面積で容量を稼ぐため、高さが増大するほど製造難度が上がります。倒壊(Bridging/Leaning)リスクがあり、構造サポート技術(Supportネット構造)が必要です。エッチングのアスペクト比要求がDRAM量産装置の最難関の一つです。
キャパシタ誘電体材料として、ZrO2(酸化ジルコニウム)・HfO2(酸化ハフニウム)・ZrAlO・TiO2などのHigh-k材料がALDで成膜されます。誘電体の等価酸化膜厚(EOT:Equivalent Oxide Thickness)を薄くしながら物理膜厚を維持することで、リーク電流を抑えつつ容量を増大させます。ルテニウム(Ru)電極との組み合わせでZrO2の高誘電率相(tetragonal相)を安定化させる手法が主流です。
セルキャパシタ製造の主要装置として、高アスペクト比トレンチエッチャー(Lam Research:Kiyo)、ALD成膜装置(ASM International:PEARL、Applied Materials:Centura)、CMP装置(Applied Materials:Reflexion)が重要です。セルキャパシタ技術はSamsung・SK Hynix・Micronの競争力の核心であり、各社の詳細な製造プロセスは非公開の場合が多いです。