埋め込みワード線(BWL:Buried Word Line)は、DRAMのメモリセルアレイにおいて、ワード線(WL:Word Line)をシリコン基板内に埋め込んだ構造です。従来の「突出型ワード線」(ゲートがシリコン表面の上に形成)と異なり、トレンチ(溝)を掘ってその中にゲート絶縁膜とゲート電極を埋め込むことで、トランジスタのゲートがシリコン基板内に収まります。別名「埋め込みゲート(Buried Gate)」とも呼ばれます。
BWLを採用する主な理由は、DRAMセルの微細化に伴うトランジスタのリーク電流問題への対応です。ワード線ピッチが縮小すると、セルトランジスタのチャネル長が短くなり、オフ時のリーク電流(GIDL:Gate-Induced Drain Leakage)が増加してデータ保持時間(リフレッシュ間隔)が短くなります。BWL構造ではトレンチゲートが実効チャネル長を延長し、リーク電流を大幅に低減します。
BWLの製造プロセスでは、深いトレンチ(約200〜300nm深)のエッチング(DRIE:Deep Reactive Ion Etching)、ゲート絶縁膜(SiO2またはHigh-k)のコンフォーマル成膜(ALD)、ゲート電極材料(TiN、W)の埋め込み成膜(ALD+CVD)、CMP平坦化という複雑な工程が必要です。エッチングプロファイルの垂直性・ゲート絶縁膜の均一性・電極材料の完全埋め込みが歩留まりを左右します。
BWL技術はSamsung(1Znm世代から本格採用)、SK Hynix(iMR:inverted Metal gate with Recess)が独自の変形版を開発し、主要DRAMメーカーの標準構造となっています。Micronも同様の埋め込みゲート構造を採用しています。次世代DRAMでは、さらにワード線ピッチが縮小(10nm以下)し、EUV露光によるWLパターニングも始まっています。
BWLに関連する装置として、深トレンチエッチャー(Lam Research、Applied Materials)、コンフォーマルALD装置(ASM International、Applied Materials)、CMP装置(Applied Materials、Ebara)、および埋め込みゲート後のソース/ドレイン形成のためのイオン注入装置(Applied Materials、Axcelis)が重要です。