最終更新 2026-10-19

EOTとは(等価酸化膜厚)

Equivalent Oxide Thickness (EOT)
目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

EOT(Equivalent Oxide Thickness:等価酸化膜厚)とは、ゲート絶縁膜の電気的厚さをSiO₂換算で表した指標です。計算式はEOT = t_high-k × (ε_SiO₂ / ε_high-k)で表され、物理膜厚が同じならば比誘電率(k値)が高いほどEOTは小さくなります。MOSFETのゲート容量(Cox = ε₀ε_SiO₂/EOT)を最大化しながらリーク電流を抑制するための核心指標として、ゲートスタック設計の中心的な設計パラメータです。

SiO₂(k≈3.9)を1nm以下に薄くするとトンネルリーク電流が急激に増加します。HfO₂(k≈22)を使うと、EOT=1nmを達成するために必要な物理膜厚はSiO₂なら1nmのところ、HfO₂では約5.6nm(=1nm × 22/3.9)で実現できます。この物理的余裕がリーク電流を数桁抑制することを可能にします。ただし実際のEOTはHfO₂単体だけでなく、Si基板との界面に形成される極薄SiON界面層(~1nm)のEOTも加算されるため、界面層の管理がEOTミニマイゼーションの鍵です。

先端ロジックノードでのEOTトレンドは、45nm世代で約1.0nm、28nm世代で約0.8nm、10nm/7nmで約0.6nm、3nm/2nm世代では0.5nm以下が要求されます。EOTを0.5nm以下まで低減するためには、界面層厚の最小化(0.3〜0.5nm以下)と高k値HfO₂の適切な成膜が両立が必要で、ALD(原子層堆積)の精度が直接EOT値を左右します。さらにゲートスタックのアニール後にHfO₂の結晶化が進みEOTが変化する現象(EOT rollback)の制御も重要です。

EOTの測定・評価にはC-V(容量-電圧)測定、エリプソメトリー、X線反射率(XRR)、TEM(透過型電子顕微鏡)断面観察が使われます。特にC-V測定はウェハレベルで非破壊的にEOTを定量評価できる実用的な手法です。ただしMOSキャパシタ構造が必要なため、実デバイスのゲートスタック評価にはTEM-EDXやXPS(X線光電子分光)による組成・膜厚解析が並行して行われます。

EOTの低減は半導体装置・材料市場に直結するドライバーです。EOT 0.5nm以下を実現するための界面層制御技術(プラズマ窒化・熱窒化・UV窒化)、高k値代替材料(La₂O₃添加HfO₂等)の開発が各デバイスメーカー・材料メーカーで進んでいます。ALD装置(ASM International・Applied Materials・Lam Research)と成膜前駆体(Merck・Entegris)が主要受益サプライヤーです。

図解

SiO₂とHfO₂の物理膜厚とEOT(等価酸化膜厚)の比較と計算式
EOTは「SiO₂に換算すると何nm分の働きか」を表す、ゲート絶縁膜の電気的な厚さ。

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よくある質問(FAQ)

EOT(等価酸化膜厚)とは何ですか?
EOT(Equivalent Oxide Thickness)とは、ゲート絶縁膜の電気的厚さをSiO2換算で示した指標です。同じ静電容量(ゲート容量)をどれだけ薄いSiO2で実現できるかを表します。High-k材料(例:HfO2、k≈22)を使うと、SiO2(k≈3.9)の約6倍の物理膜厚でも同じEOTを達成でき、リーク電流を大幅に削減できます。
EOTの計算式は何ですか?
EOT = t_材料 x (ε_SiO2 / ε_材料) で計算されます。例えばHfO2(ε≈22)を5nm成膜した場合のEOTは5 x (3.9/22) ≈ 0.89nmです。実際のゲートスタックではHfO2のEOTに加えてSiON界面層(〜0.5nm)のEOTも加算されるため、設計EOTを達成するには界面層を極力薄くする管理が重要です。
EOTが小さいとどんなメリットがありますか?
EOTが小さいほどゲート容量(Cox = ε0ε_SiO2/EOT)が大きくなり、MOSFETの電流駆動力(Ion)と閾値電圧スイング(SS)が改善します。つまりより高速・低電圧でトランジスタが動作できます。先端ロジックではEOTの縮小がトランジスタ性能向上の直接的ドライバーになっています。
EOTの測定方法は何ですか?
主な測定手法は1)C-V(容量-電圧)測定:MOSキャパシタ構造で非破壊的にEOTを定量評価、2)エリプソメトリー:光学的に膜厚を測定(KLA・東京精密)、3)XRR(X線反射率):界面層を含む積層膜厚を高精度測定、4)TEM断面観察:直接断面を可視化(日立ハイテク)、の4種類が主に使われます。量産ラインではC-Vとエリプソメトリーがインライン管理に活用されます。
EOT 0.5nm以下はどのように実現しますか?
EOT最小化には2つのアプローチが必要です。1)界面層(SiON)の薄膜化:熱酸化・プラズマ窒化でSiON厚を0.3〜0.4nmまで削減(ただし薄すぎると界面欠陥Ditが増加)。2)High-k層の高k化:La2O3添加HfO2(k値を25〜27まで向上)や原子層精度のALDレシピ最適化。これらをALD(ASM International・Applied Materials・Lam Research)で実施します。

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出典・参考資料

  1. 日本表面科学会「ゲートスタック技術(表面科学 33巻11号)」(2026/10/10 確認)