最終更新 2026-10-19

HKMGとは(High-k/Metal Gate)

High-k Metal Gate (HKMG)
目次8項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. 紛らわしい言葉の切り分け
  4. よくある質問
  5. 設備の製造メーカー
  6. 関連用語
  7. 比較・違いを学ぶ
  8. 出典・参考資料

定義・解説

HKMG(High-k/Metal Gate)とは、高誘電率材料(High-k誘電体:主にHfO₂系)をゲート絶縁膜に用い、金属材料(Metal Gate:TiN・TaN系)をゲート電極に採用する組み合わせプロセス技術の総称です。2007年にIntelが45nmノードで世界で初めて量産導入し、従来のSiO₂/ポリシリコン構成に代わる業界標準として確立されました。ゲートリーク電流を3桁以上削減しながら電流駆動力を維持できる革命的な技術です。

HKMGが必要になった背景は、ムーアの法則に従ったゲート絶縁膜の極薄化の限界です。従来のSiO₂ゲート酸化膜を1.2nm以下に薄くするとトンネルリーク電流が急激に増加し、消費電力増大・信頼性低下・発熱という3重の問題が顕在化しました。また同時に発覚したポリシリコンゲートの「フェルミレベルピニング」問題(CMOSの閾値電圧が制御困難になる現象)も、メタルゲートへの移行を決定づけた理由です。HfO₂(比誘電率k≈22)は同じEOTをSiO₂の約6倍の物理膜厚で実現でき、リーク電流を劇的に抑制します。

製造フローはGate-First(ゲート先)とGate-Last(RMG:リプレースメントメタルゲート)の2方式があります。Gate-Firstは従来のプロセス順通りにHigh-k/Metal Gateを先に形成しますが、後続の高温アニール(ソース・ドレイン活性化)でメタルゲートの仕事関数がシフトするリスクがあります。Gate-Lastは先にダミーポリシリコンゲートを形成してソース・ドレインを処理した後、ポリシリコンを除去してHigh-k/Metal Gateを埋め込む方式です。TSMCはGate-Last(RMG)を採用し、Intelは当初Gate-Firstを採用後にGate-Lastへ移行しました。現在の先端ロジックはほぼ全てRMG方式です。

FinFETからGAA(Gate-All-Around)へのトランジスタ構造進化に伴い、HKMGの技術難易度は著しく上昇しています。GAAナノシートでは、スタックされたナノシート間の狭いギャップ(約5〜8nm)にHigh-k誘電体とメタルゲートをALDで均一に充填する必要があり、ゲートフィル(gate fill)技術が歩留まりの鍵を握ります。さらに各ナノシートのNFET・PFETに異なる仕事関数メタルを適用するダイポールドーピング技術も導入されています。

HKMGに関連する主要装置はALD成膜装置が中心で、ASM International(High-k/Metal Gate向けで高シェア)・Applied Materials(Olympia ALD)・Lam Research・東京エレクトロン(TEL)が主要サプライヤーです。材料面ではMerck(旧EMD材料)・Entegrisが前駆体(HfCl₄・TDMAH・TiCl₄等)を供給します。ゲートスタックの膜厚・界面品質評価にはKLA・BrukerのXRR/XPS装置が活用されています。

図解

HKMGのゲート積層断面(金属電極・仕事関数金属・High-k膜・界面層・シリコン)
ポリシリコン電極とSiO₂膜の組み合わせを、金属電極とHigh-k膜に置き換えたのがHKMG。

紛らわしい言葉の切り分け

HKMGとポリシリコンゲート。違いはゲート絶縁膜と電極の材料です。ポリシリコンゲートはSiO₂の絶縁膜にポリシリコンの電極を載せた構造ですが、絶縁膜を薄くするとトンネルリークが増えます。HKMGは誘電率の高い膜と金属の電極に替えることでこの問題を解消し、現在の先端ロジックの標準です。 比較記事 →

関連するデータ・ツール

計算・換算ツールMOSFETしきい値電圧(Vth)計算ツール計算・換算ツールEOT・MOSキャパシタ(C–V特性)計算ツール

よくある質問(FAQ)

HKMGとは何ですか?
HKMG(High-k Metal Gate)は、高誘電率材料(主にHfO2)をゲート絶縁膜に、金属(TiN・TaN等)をゲート電極に使うMOSFET構造です。2007年にIntelが45nmノードで量産化し、以降の全先端ロジックに採用されています。ゲートリーク電流を従来比1000分の1以下に削減しながら高いゲート容量を維持できる革命的な技術です。
HKMGが導入される前の問題は何でしたか?
2つの主要問題がありました。1)SiO2ゲート酸化膜の薄膜化限界:1.2nm以下ではトンネルリーク電流が急増し消費電力・信頼性が悪化。2)ポリシリコンゲートのフェルミレベルピニング問題:High-k材料をポリシリコンと組み合わせると界面欠陥がVthを固定し、CMOSの閾値電圧設計が困難になる現象。これら2問題を同時に解決したのがHKMGです。
Gate-FirstとGate-Last(RMG)の違いは何ですか?
Gate-First(ゲート先)はHKMGを先に形成してからS/D活性化アニールを行う方式です。シンプルですが高温アニールでメタルゲートの仕事関数がシフトするリスクがあります。Gate-Last(RMG)はダミーポリシリコンを仮ゲートとして使い、S/D処理完了後にポリシリコンを除去してHKMGを埋め込む方式です。熱劣化を回避できるため、TSMCを含む現在の先端ロジックはほぼ全てRMGを採用しています。
GAAトランジスタでのHKMGはFinFETと何が違いますか?
GAAナノシートでは複数のナノシート(3〜4枚)間の5〜8nmの隙間にHigh-k/Metal Gateを均一に充填する必要があります。FinFETのゲートはフィンの外側を囲むだけでしたが、GAAはナノシートを全周(上下左右)から囲みます。このためALDのコンフォーマル(等角)成膜性と充填金属のボイドフリー充填技術がFinFETより格段に難しくなります。
HKMGの主要装置メーカーと材料サプライヤーは?
装置:ALD成膜のASM International(Polygon・Dragon)、Applied Materials(Olympia ALD)、Lam Research、東京エレクトロン(TEL)が主要4社です。ASM Internationalは特にHigh-k/Metal Gate向けで高シェアを持ちます。材料(ALD前駆体):Merck(TDMAH・TiCl4等)、Entegrisがリードサプライヤーです。計測:KLA(エリプソメーター)、Bruker(XRR)が使われます。
HKMGのメリット・デメリットは何ですか?
メリット:1)ゲートリーク電流を3桁以上削減→消費電力・発熱大幅改善、2)ゲート空乏化なし→高い実効ゲート容量、3)メタルゲートで精密なVth設計が可能、4)ALDで三次元形状への均一成膜が可能。デメリット:1)プロセスの複雑化(多層ALD積層)→工程数・コスト増加、2)High-k/金属界面の欠陥管理が難しい、3)仕事関数メタルの熱安定性管理(特にGate-First)、4)GAA対応でゲートフィルの難易度がさらに上昇。

設備の製造メーカー

デバイスの製造メーカー

TSMC(台湾積体電路製造)台湾

世界最大の半導体ファウンドリ。3nm、5nm、7nmなど最先端プロセスノードで業界をリード。Apple、NVI…

Samsung Electronics(サムスン電子)韓国

世界最大のメモリメーカーであり、先端ロジックファウンドリでもあるIDM。DRAM・NANDフラッシュで市場をリ…

Intel米国

世界最大のCPUメーカー。従来はIDMとして自社プロセスでCPUを製造してきたが、Intel Foundry …

関連する装置カテゴリ

同じトピックの用語

プロセスノード・トランジスタ・ゲートスタック(High-k/メタルゲート) のトピックで関連する用語です。

同じトピックの企業

GlobalFoundries米国Kokusai Electric(国際電気)日本STMicroelectronics(ST)スイス

比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. SCREENセミコンダクターソリューションズ「初心者のための半導体入門:High-k膜技術」(2026/10/10 確認)