EUVレジスト(EUV Resist)は、EUV(極端紫外線)露光装置を使った半導体リソグラフィ工程において、波長13.5nmのEUV光に感応して化学的変化を起こすフォトレジスト材料です。EUV光によって露光された部分(ポジ型では可溶化、ネガ型では不溶化)をパターン現像することで、ウェハ上にナノメートルスケールの回路パターンを形成します。
EUVレジストには従来のArFレジスト(193nm対応)とは異なる高度な要求があります。(1)高感度(Sensitivity):EUV光の光子エネルギーが高い(92eV)一方、フォトンショット数が制限されるため、少ない光量で十分な反応が起きる高感度材料が必要。(2)高解像性(Resolution):10nm以下の微細パターンを形成できる材料設計。(3)低ラフネス(LWR/LER):パターンエッジの凹凸を最小化。(4)高エッチング耐性:現像後のパターンがエッチング工程に耐える必要があります。
これら高感度・高解像性・低ラフネスの3要素は「RLS(Resolution-LWR-Sensitivity)トレードオフ」と呼ばれる相反関係にあり、EUVレジスト開発の最大の技術課題です。化学増幅型(CAR:Chemically Amplified Resist)は感度が高い反方、フォトン統計ゆらぎ(ショットノイズ)による局所的な露光量変動がラフネスを増大させます。
次世代EUVレジストとしてMetal-Oxide Resist(MOX)またはMetal-Containing Resist(MCR)が注目されています。ハフニウム(Hf)・スズ(Sn)・チタン(Ti)などの金属酸化物を含む材料は、EUV光の吸収率がCARより高く、感度と解像性を同時に向上できる可能性があります。Inpria(BASF傘下)・Irresistible Materials(IM)などが開発を進めており、TSMCのN2ノード以降での採用が期待されています。
EUVレジストの主要サプライヤーはJSR(日本:世界最大シェア)、東京応化工業(TOK)、信越化学工業(信越化学EUVレジスト)、DuPont(EKC Technology)、住友化学などです。EUVレジスト市場は少量・高付加価値で、各社が極めて高い技術力を競う特殊材料分野です。