レジスト(フォトレジスト)は露光で溶解性が変わる感光性有機薄膜。化学増幅型CAR(KrF・ArF・EUV)が現代の主流。EUVではショットノイズ起因LWR悪化を解決するメタルオキサイドレジスト(MOR)が台頭。JSR・信越化学・TOKが世界市場80%を占める日本産業の強み。
レジスト(Resist)とは、半導体リソグラフィ(フォトリソグラフィ)工程において、光(紫外線・EUVなど)を受けた部分の溶解性が変化する感光性の有機薄膜材料です。フォトレジストとも呼ばれます。ウェハ表面にスピンコート法で均一に塗布した後、露光・現像を行うことで回路パターンを形成し、その後のエッチングや注入工程のマスク(保護層)として機能します。パターン形成後はアッシングや剥離液で除去されます。
レジストは「ポジ型」と「ネガ型」に分類されます。ポジ型レジストは露光した部分が現像液に溶けてパターンが転写されます(露光部が除去)。ネガ型は露光した部分が架橋反応で硬化し、未露光部が溶解します。現代の先端プロセス(KrF・ArF・EUV)ではほぼポジ型が主流です。また化学増幅型レジスト(CAR:Chemically Amplified Resist)は、少量の光酸発生剤(PAG:Photo Acid Generator)が露光で酸を生成し、PEB(露光後加熱)で酸触媒反応を連鎖させ感度を大幅に高めた現代の主流方式です。
レジストの主要性能指標は、①解像度(Resolution):最小パターン寸法を形成できる能力、②感度(Sensitivity):パターン形成に必要な露光量(mJ/cm²)、③LWR/LER(ライン幅ラフネス/エッジラフネス):パターン端面の滑らかさ、④エッチング耐性:プラズマエッチング時のマスク消耗量、⑤PEB温度感度:焼き温度依存性です。「RLS(Resolution-LWR-Sensitivity)トレオフ」と呼ばれる課題があり、解像度・LWR・感度は同時に改善しにくいトレードオフ関係にあります。
EUVレジストは特別な課題を抱えています。EUV光(13.5nm:フォトン1個あたりのエネルギー92eV)は1ショットのフォトン数がArFの1/14と少ないため統計的ゆらぎ(ショットノイズ)が大きく、LWR悪化の主原因となります。これを解決するためにメタルオキサイドレジスト(MOR:Metal-containing Resist、ハフニウム・ジルコニウム系の無機レジスト)が開発されています。MORは感度・LWR・解像度の三者を同時改善できる候補として注目されており、Inpriaや信越化学・JSR等が開発を進めています。
レジスト主要メーカー:JSR(日本)はEUV・ArFレジストで世界トップシェア、信越化学工業・東京応化工業(TOK)・Fujifilm・Merck(独:旧EMD Performance Materials)・Shin-Etsuが主要サプライヤーです。特にJSR・信越化学・TOKの日本3社は世界のArF・EUVレジスト市場の約80%を占めるとされており、日本の半導体材料産業の強みを示しています。コーター・デベロッパー装置(SCREENセミコンダクターソリューションズ・TEL)と合わせたサプライチェーンで、リソグラフィプロセスを支えています。