最終更新 2026-10-09

レジストとは(フォトレジスト)

Resist (Photoresist)

レジスト(フォトレジスト)とは、光を受けた部分の溶解性が変化する感光性の有機薄膜材料です。スピンコートでウェハ表面に均一に塗布し、露光・現像を経て回路パターンを形成した後、エッチングやイオン注入のマスクとして機能します。露光部が溶けるポジ型と硬化して残るネガ型があり、役目を終えるとアッシングで除去されます。

目次9項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. 紛らわしい言葉の切り分け
  4. よくある質問
  5. 設備の製造メーカー
  6. 関連する製品
  7. 関連用語
  8. 比較・違いを学ぶ
  9. 出典・参考資料

定義・解説

レジスト(フォトレジスト)は露光で溶解性が変わる感光性有機薄膜。化学増幅型CAR(KrF・ArF・EUV)が現代の主流。EUVではショットノイズ起因LWR悪化を解決するメタルオキサイドレジスト(MOR)が台頭。JSR・信越化学・TOKが世界市場80%を占める日本産業の強み。

レジスト(Resist)とは、半導体リソグラフィ(フォトリソグラフィ)工程において、光(紫外線・EUVなど)を受けた部分の溶解性が変化する感光性の有機薄膜材料です。フォトレジストとも呼ばれます。ウェハ表面にスピンコート法で均一に塗布した後、露光・現像を行うことで回路パターンを形成し、その後のエッチングや注入工程のマスク(保護層)として機能します。パターン形成後はアッシングや剥離液で除去されます。

レジストは「ポジ型」と「ネガ型」に分類されます。ポジ型レジストは露光した部分が現像液に溶けてパターンが転写されます(露光部が除去)。ネガ型は露光した部分が架橋反応で硬化し、未露光部が溶解します。現代の先端プロセス(KrF・ArF・EUV)ではほぼポジ型が主流です。また化学増幅型レジスト(CAR:Chemically Amplified Resist)は、少量の光酸発生剤(PAG:Photo Acid Generator)が露光で酸を生成し、PEB(露光後加熱)で酸触媒反応を連鎖させ感度を大幅に高めた現代の主流方式です。

レジストの主要性能指標は、①解像度(Resolution):最小パターン寸法を形成できる能力、②感度(Sensitivity):パターン形成に必要な露光量(mJ/cm²)、③LWR/LER(ライン幅ラフネス/エッジラフネス):パターン端面の滑らかさ、④エッチング耐性:プラズマエッチング時のマスク消耗量、⑤PEB温度感度:焼き温度依存性です。「RLS(Resolution-LWR-Sensitivity)トレオフ」と呼ばれる課題があり、解像度・LWR・感度は同時に改善しにくいトレードオフ関係にあります。

EUVレジストは特別な課題を抱えています。EUV光(13.5nm:フォトン1個あたりのエネルギー92eV)は1ショットのフォトン数がArFの1/14と少ないため統計的ゆらぎ(ショットノイズ)が大きく、LWR悪化の主原因となります。これを解決するためにメタルオキサイドレジスト(MOR:Metal-containing Resist、ハフニウム・ジルコニウム系の無機レジスト)が開発されています。MORは感度・LWR・解像度の三者を同時改善できる候補として注目されており、Inpriaや信越化学・JSR等が開発を進めています。

レジスト主要メーカー:JSR(日本)はEUV・ArFレジストで世界トップシェア、信越化学工業・東京応化工業(TOK)・Fujifilm・Merck(独:旧EMD Performance Materials)・Shin-Etsuが主要サプライヤーです。特にJSR・信越化学・TOKの日本3社は世界のArF・EUVレジスト市場の約80%を占めるとされており、日本の半導体材料産業の強みを示しています。コーター・デベロッパー装置(SCREENセミコンダクターソリューションズ・TEL)と合わせたサプライチェーンで、リソグラフィプロセスを支えています。

図解

レジスト(フォトレジスト)の工程の流れ(塗布・露光・現像・マスク・除去)
レジストは最終製品には残らない「一時的な型」。

紛らわしい言葉の切り分け

ポジ型レジストとネガ型レジスト。違いは光が当たった部分が溶けるか残るかです。ポジ型は光が当たった部分が現像液に溶け、解像度が高いため先端品の主流です。ネガ型は光が当たった部分が固まって残り、厚い膜のパターンや密着性・耐薬品性が要る用途に使われます。 比較記事 →

関連するデータ・ツール

データ日本の半導体サプライチェーン地図データフォトレジストの世界シェアと主要メーカー計算・換算ツール露光解像度・焦点深度 計算ツール(レーリーの式)計算・換算ツールeV↔波長 換算ツール(バンドギャップ・露光波長)計算・換算ツールスピンコート膜厚・回転数 計算ツール

この用語を扱う職種

装置・材料メーカーフォトレジスト開発エンジニア

よくある質問(FAQ)

ポジ型レジストとネガ型レジストはどう違いますか?
ポジ型は露光された部分が現像液に溶けて、マスクの遮光パターンがそのまま残ります。ネガ型は露光部が硬化して残り、未露光部が溶けます。一般に解像度はポジ型が優れるため先端ノードの主流ですが、ネガ型は厚膜や密着性が求められる用途に適します。
化学増幅型レジストとは何ですか?
露光で発生した酸を触媒として、加熱(PEB)中に連鎖的に多数の化学反応を起こさせる方式です。1個の光子から多数の反応を引き出せるため感度が飛躍的に高まり、KrF以降の露光では標準になっています。ただし酸の拡散がラフネスの原因にもなります。
EUV用レジストの課題は何ですか?
感度・解像度・ラフネス(LER)の3つを同時に満たすのが難しい「RLSトレードオフ」です。EUVは1光子あたりのエネルギーが大きく光子数が少ないため、統計的なばらつき(ショットノイズ)がラフネスに直結します。金属酸化物系レジストがこの解決策として開発されています。

設備の製造メーカー

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

DT-3000SCREENホールディングス・コータ/デベロッパ
FPA-1200NZ2Cキヤノン(Canon)・ナノインプリントリソグラフィ(NIL)

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. SCREENホールディングス「DT-3000 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  2. キヤノン(Canon)「FPA-1200NZ2C 製品ページ」(2026/10/07 確認)