ハードマスク(Hard Mask)は、半導体製造において、フォトレジストの代わりに、またはレジストパターンの下層として使用される無機または有機系の薄膜マスク材料です。レジストはエッチングに対して比較的脆弱なため、深いエッチングや高選択比が必要な工程では、レジストパターンをより耐久性の高いハードマスク材料に転写してからエッチングを行います。
主なハードマスク材料として、①酸化シリコン(SiO2)、②窒化シリコン(Si3N4)、③非晶質カーボン(ACL:Amorphous Carbon Layer、スピンオンカーボン:SOC)、④TiN(窒化チタン)、⑤金属酸化物(ZrO2、HfO2)があります。それぞれエッチング耐性・光吸収特性・膜応力・密着性が異なり、プロセス要件に合わせて選択・組み合わせます。
多重パターニング(SADP、SAQP)においてハードマスクは核心的役割を果たします。SADPではスペーサーをコアハードマスク上に形成し、コアを選択除去してスペーサーをエッチングマスクとして使います。この工程の各ステップでALD成膜・異方性エッチング・選択エッチングが繰り返され、装置(ALD装置・エッチャー)の精度要求が非常に厳しいです。
先端ノード(3nm以下)では、3層以上のハードマスクスタック(有機カーボン層+SiON層+レジスト)が標準的になっています。各層が異なるエッチャント(CF4系、O2系、CxHyFz系)に対して異なる選択比を持つよう設計することで、微細パターンの多段転写を実現します。この複雑なスタック設計には装置・材料・プロセスの緊密な協調が必要です。
ハードマスクの成膜にはCVD(PECVD、SACVD)、ALD、スピンコート(SOC/SOG)が使われます。Applied Materials(PECVD装置)、Lam Research(ALD・CVD)、JSR(SOC材料)、Merck(SOG材料)が主要サプライヤーです。EUVへの移行でEUV対応の新世代ハードマスク(EUV光で高コントラストを持つMOR対応HM)の開発も進んでいます。