MSL(Moisture Sensitivity Level:耐湿性レベル)とは、表面実装部品が実装前に大気中の湿気にさらされてよい時間(フロアライフ)を、JEDEC規格に基づいて1〜6の段階で分類した指標です。MSL1は無制限、MSL3は168時間、MSL5aは24時間というように、数字が大きいほど厳しい管理が必要になります。
この管理が必要な理由は「ポップコーン現象」です。パッケージのモールド樹脂は水分を吸収します。その状態でリフローはんだ付けの260℃前後にさらされると、内部の水分が一気に気化して膨張し、パッケージが内部から膨れて剥離やクラックを起こします。ポップコーンが弾けるような破壊であることからこの名で呼ばれ、外観では判別できない内部剥離として残る場合もあります。
MSLの判定は、規定の温湿度環境で吸湿させた試料をリフロー相当の熱に3回さらし、超音波顕微鏡(SAT)で内部剥離が発生していないかを確認することで行われます。剥離やクラックが生じなければそのレベルを満たすと判定されます。パッケージの大きさ、樹脂の吸湿特性、ダイと基板の面積比などが結果を左右します。
運用面では、MSL2以上の部品は乾燥剤と湿度インジケータを入れた防湿袋で出荷され、開封後はフロアライフ内に実装しなければなりません。時間を超過した部品は、規定の温度で数時間から数十時間のベーキング(乾燥)を行って水分を追い出せば再び使用できます。この管理を怠ると、実装後に見えない剥離を抱えた製品が流出します。
先端パッケージほどMSLの確保は難しくなります。大型化・薄型化が進むと反りと吸湿の影響が大きくなり、積層構造では剥離しうる界面が増えるためです。HASTや温度サイクル試験と合わせて、封止材とパッケージ構造の設計妥当性を検証する項目になっています。