最終更新 2026-10-10

HASTとは(高加速寿命試験)

HAST (Highly Accelerated Stress Test)

HAST(高加速寿命試験)とは、130℃・85%RH・約2気圧といった高温高湿かつ加圧環境で、湿度起因の劣化を短時間で評価する試験です。加圧により100℃超でも高湿度を維持でき、従来の85℃/85%RH試験が1,000時間かかったところを96時間程度に短縮します。水分侵入によるアルミパッドの腐食やワイヤ接合部の劣化が対象で、バイアス印加の有無で2種類に分かれます。

目次8項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. 紛らわしい言葉の切り分け
  4. よくある質問
  5. 設備の製造メーカー
  6. 関連用語
  7. 比較・違いを学ぶ
  8. 出典・参考資料

定義・解説

HAST(Highly Accelerated Stress Test:高加速寿命試験)とは、高温・高湿に加えて気圧を上げた環境にデバイスを置き、湿度に起因する劣化を短時間で加速評価する試験です。130℃・85%RH・約2気圧といった条件が代表的で、従来の85℃/85%RH試験(いわゆる85/85)が1,000時間を要したのに対し、96時間程度で同等の評価ができます。

加圧するのは、100℃を超える温度で高湿度を維持するためです。常圧では水が沸騰してしまうため85℃程度が上限になりますが、圧力容器内であれば130℃でも高湿度を保てます。これによって水分の侵入と反応が大きく加速され、試験期間を1桁短縮できます。

この試験で顕在化するのは、水分がパッケージ内部へ侵入することで起きる不良です。モールド樹脂を透過した水分が金属を腐食させ、アルミパッドの腐食、ボンディングワイヤ接合部の劣化、配線の断線として現れます。樹脂に含まれるイオン性不純物が水分に溶けると腐食が加速するため、封止材の純度も評価対象になります。

バイアスをかけるかどうかで2種類に分かれます。バイアスHASTは実使用に近い電圧を印加した状態で行い、電界による電気化学的マイグレーション(イオンが移動して短絡に至る現象)まで含めて評価します。アンバイアスHAST(無バイアス)は電圧をかけず、純粋に湿熱による材料劣化と界面剥離を見ます。

温度サイクル試験が熱膨張差による機械的ストレスを見るのに対し、HASTは水分と腐食という化学的な劣化経路を見る試験です。両者はパッケージ信頼性を評価する上で補完的な関係にあり、MSL(耐湿性レベル)の評価と合わせて、封止材とパッケージ構造の妥当性を検証します。

図解

耐湿性試験の条件比較(THB・PCT・HAST)
水分の侵入によるアルミパッドの腐食やワイヤ接合部の劣化を調べる。

紛らわしい言葉の切り分け

HASTとPCT。どちらもパッケージの耐湿性を短時間で調べる加速試験です。PCTは飽和水蒸気の中で、ふつう電圧をかけずに試験します。HASTは飽和しない加圧条件で、ふつう電圧をかけながら試験し、高温高湿バイアス試験を大幅に短縮できます。 比較記事 →

関連するデータ・ツール

計算・換算ツール加速係数・故障率(FIT)計算ツール計算・換算ツール信頼性試験のサンプル数・LTPD 計算ツール

この用語を扱う職種

後工程(実装・テスト)信頼性エンジニア

よくある質問(FAQ)

なぜ加圧するのですか?
100℃を超える温度で高湿度を維持するためです。常圧では水が沸騰するため85℃程度が上限ですが、圧力容器内なら130℃でも高湿度を保てます。これにより水分の侵入と反応が大きく加速され、従来1,000時間かかった評価を96時間程度に短縮できます。
バイアスHASTと無バイアスHASTの違いは?
電圧を印加するかどうかです。バイアスHASTは実使用に近い電圧をかけ、電界による電気化学的マイグレーション(イオン移動による短絡)まで評価します。無バイアスは純粋に湿熱による材料劣化と界面剥離を見ます。

設備の製造メーカー

関連する装置カテゴリ

同じトピックの用語

テスト装置・信頼性・劣化メカニズム のトピックで関連する用語です。

同じトピックの企業

アドバンテスト日本Teradyne(テラダイン)米国Aehr Test Systems米国Cohu米国東京精密(Accretech)日本Nordson米国

比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. JEDEC「HIGHLY ACCELERATED TEMPERATURE AND HUMIDITY STRESS TEST (HAST)」(2026/10/10 確認)