HAST(Highly Accelerated Stress Test:高加速寿命試験)とは、高温・高湿に加えて気圧を上げた環境にデバイスを置き、湿度に起因する劣化を短時間で加速評価する試験です。130℃・85%RH・約2気圧といった条件が代表的で、従来の85℃/85%RH試験(いわゆる85/85)が1,000時間を要したのに対し、96時間程度で同等の評価ができます。
加圧するのは、100℃を超える温度で高湿度を維持するためです。常圧では水が沸騰してしまうため85℃程度が上限になりますが、圧力容器内であれば130℃でも高湿度を保てます。これによって水分の侵入と反応が大きく加速され、試験期間を1桁短縮できます。
この試験で顕在化するのは、水分がパッケージ内部へ侵入することで起きる不良です。モールド樹脂を透過した水分が金属を腐食させ、アルミパッドの腐食、ボンディングワイヤ接合部の劣化、配線の断線として現れます。樹脂に含まれるイオン性不純物が水分に溶けると腐食が加速するため、封止材の純度も評価対象になります。
バイアスをかけるかどうかで2種類に分かれます。バイアスHASTは実使用に近い電圧を印加した状態で行い、電界による電気化学的マイグレーション(イオンが移動して短絡に至る現象)まで含めて評価します。アンバイアスHAST(無バイアス)は電圧をかけず、純粋に湿熱による材料劣化と界面剥離を見ます。
温度サイクル試験が熱膨張差による機械的ストレスを見るのに対し、HASTは水分と腐食という化学的な劣化経路を見る試験です。両者はパッケージ信頼性を評価する上で補完的な関係にあり、MSL(耐湿性レベル)の評価と合わせて、封止材とパッケージ構造の妥当性を検証します。