半導体材料の物性一覧
最終更新:2026-10-04
要点
シリコンのバンドギャップは1.12eV、SiCは3.26eV、GaNは3.4eVで、バンドギャップの大きい材料ほど絶縁破壊電界が大きく、パワー半導体に向きます。GaAsやInPは電子の移動度が高く高周波に、直接遷移の材料は発光デバイスに使われます。この表は主な材料の物性の目安を一覧にしたものです。
主な半導体材料の物性(室温の目安)
| 材料 | バンドギャップ(eV) | 遷移 | 電子移動度(cm²/V·s) | 正孔移動度(cm²/V·s) | 絶縁破壊電界(MV/cm) | 熱伝導率(W/cm·K) | 融点 | 格子定数(nm) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Si(シリコン) | 1.12 | 間接 | 約1,400 | 約450 | 約0.3 | 約1.5 | 1,414℃ | 0.543 |
| Ge(ゲルマニウム) | 0.66 | 間接 | 約3,900 | 約1,900 | 約0.1 | 約0.6 | 938℃ | 0.566 |
| GaAs(ガリウムヒ素) | 1.42 | 直接 | 約8,500 | 約400 | 約0.4 | 約0.5 | 1,238℃ | 0.565 |
| InP(リン化インジウム) | 1.34 | 直接 | 約5,400 | 約200 | 約0.5 | 約0.7 | 1,062℃ | 0.587 |
| 4H-SiC(炭化ケイ素) | 3.26 | 間接 | 約900 | 約120 | 約2.8 | 約3.7〜4.9 | 昇華(約2,700℃) | a=0.308、c=1.008 |
| GaN(窒化ガリウム) | 3.4 | 直接 | 約1,000(2DEGは約2,000) | 約200 | 約3.3 | 約1.3〜2.3 | 高温で分解 | a=0.319、c=0.519 |
| β-Ga₂O₃(酸化ガリウム) | 約4.8 | — | 約200 | — | 約8 | 約0.1〜0.3 | 約1,800℃ | 単斜晶 |
| ダイヤモンド | 5.47 | 間接 | 約2,000〜4,500 | 約1,600〜3,800 | 約10 | 約20 | (黒鉛化) | 0.357 |
| AlN(窒化アルミニウム) | 約6.0 | 直接 | 約300 | — | 約12 | 約2.9 | 高温で分解 | a=0.311、c=0.498 |
※ 移動度は高純度の結晶での代表値で、不純物濃度が高いほど小さくなります。SiCとGaNは結晶多形・方位、ダイヤモンドは試料によって値の幅が大きい材料です。
表の読み方:何がデバイスの性能を決めるか
バンドギャップが大きい材料ほど高い電圧に耐え(絶縁破壊電界が大きい)、高温でも動作できます。SiCやGaN、Ga₂O₃がパワー半導体に使われるのはこのためで、シリコンの約10倍の絶縁破壊電界により、同じ耐圧なら素子を薄く、抵抗を小さくできます。移動度が大きい材料は電子が速く動くため、GaAsやInPは高周波のデバイスに使われます。直接遷移の材料は光をよく出すため、LEDや半導体レーザーの材料になります。
熱伝導率は発熱の逃がしやすさを表し、SiCやダイヤモンドは熱をよく逃がします。格子定数は、ある材料の上に別の材料の結晶を成長させるときの相性を決め、差が大きいと転位などの欠陥が入ります。材料の比較はSiCとGaNの違いやSiCとシリコンの違い、パワー素子の限界はパワーデバイス限界計算ツールも参照してください。