InP(リン化インジウム)とは

Indium Phosphide (InP)

最終更新:2026-10-03・化合物半導体ウェハ・化合物半導体|用語集のExcel・PDF版をダウンロード

InP(リン化インジウム)とは?

InP(リン化インジウム)とは、インジウムとリンからなるIII-V族化合物半導体で、バンドギャップ約1.34eVの直接遷移型です。格子整合するInGaAs・InGaAsPと組み合わせて光ファイバー通信の1.3μm・1.55μm帯の光を扱えるため、データセンター向け光トランシーバーのレーザーや受光素子の基板として需要が急増しています。

定義・解説

InP(インジウムリン、リン化インジウム)とは、インジウム(In)とリン(P)からなるIII-V族化合物半導体です。バンドギャップは約1.34eVの直接遷移型です。InPの基板の上には、組成を調整して格子定数をそろえたInGaAsやInGaAsPを成長させられ、これらを組み合わせることで、光ファイバーでの損失が小さい波長1.3μm帯と1.55μm帯の光を出したり受けたりできることが、最大の特長です。

主な用途は光通信です。長距離通信やデータセンターの光トランシーバーに使われる半導体レーザー(DFBレーザー、電界吸収型変調器付きレーザー=EML)、受光素子(InGaAsフォトダイオード、APD)、光変調器が、InP基板の上に作られます。生成AI向けデータセンターでは、サーバー間をつなぐ800G・1.6Tの光トランシーバーの需要が急増しており、InPデバイスと基板の需要も大きく伸びています。シリコン上に光回路を作るシリコンフォトニクスでも、シリコンでは発光できないため、光源にはInP系のレーザーを組み合わせます。電子デバイスとしては、100GHzを超える超高周波で動くInP HBTやHEMTが、次世代無線や計測器に使われます。InGaAsは短波赤外(SWIR)のイメージセンサにも使われます。

InPの単結晶はVGF法やLEC法で作られますが、割れやすく欠陥を減らすのが難しいため、ウェハは直径2〜4インチが中心で、6インチ化が進みつつある段階です。GaAsやシリコンに比べて高価で、基板の供給はJX金属や住友電気工業など少数のメーカーに集中しています。原料のインジウムは主に亜鉛の精錬の副産物として得られる希少金属で、重要鉱物の一つに位置付けられています。

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よくある質問(FAQ)

InPが光通信に使われるのはなぜですか?▾
InP基板の上に格子整合するInGaAsやInGaAsPを成長させると、光ファイバーでの損失が最も小さい波長1.3μm帯・1.55μm帯の光を出す・受ける素子を作れるためです。シリコンは間接遷移型で発光できず、GaAs系ではこの波長を扱いにくいため、InPが光通信の標準材料になっています。
InPウェハの課題は何ですか?▾
結晶が割れやすく欠陥を減らすのが難しいため、大口径化が遅れており、2〜4インチが中心です。価格も高く、基板を供給するメーカーが少ないうえ、原料のインジウムが希少金属であることから、データセンター需要の急増に対して供給力の拡大が課題になっています。

設備の製造メーカー

JX金属(JX Advanced Metals)日本

銅箔・スパッタリングターゲット・電子材料の専業メーカー(ENEOSグループ)。半導体向けでは銅・アルミニウム・…

住友電気工業(SiC・化合物半導体)日本

電線・光ファイバを主事業に持つ住友電工の化合物半導体部門。SiCウェハ・GaAs・InP基板などパワーデバイス…

コヒレント(Coherent Corp.)米国

化合物半導体基板(SiC・GaAs)・レーザー光学部品を手掛けるグローバル大手メーカー。2022年にII-VI…

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