GaAs(ガリウムヒ素、ヒ化ガリウム)とは、ガリウム(Ga)とヒ素(As)からなる13-15族(III-V族)化合物半導体です。バンドギャップは室温で約1.42eVの直接遷移型で、電子の移動度は約8,500cm²/V·sとシリコンの約6倍あります。この2つの性質から、高周波で動くトランジスタと、光を出す素子の両方に使われてきました。
高周波の用途では、スマートフォンの送信用パワーアンプ(GaAs HBT)やアンテナスイッチ(pHEMT)、衛星通信やレーダーの増幅器が代表です。GaAsとAlGaAsは格子定数がほぼ同じため、良質なヘテロ接合を作りやすく、HEMTやHBTの性能を引き出せます。光の用途では、直接遷移型で発光効率が高いことを生かし、赤外LED、CDやDVD向けの半導体レーザー、顔認証やデータ通信用の面発光レーザー(VCSEL)に使われます。宇宙用の多接合太陽電池でもGaAsが中核の材料です。
GaAsの単結晶は、液体封止チョクラルスキー法(LEC法)や垂直温度勾配凝固法(VGF法)で作られ、ウェハは直径150mm(6インチ)以下が中心です。シリコンに比べて割れやすく、熱伝導率が約3分の1と低いことや、良質な絶縁膜(酸化膜)ができないためMOSFETを作りにくいことが弱点で、トランジスタはショットキーゲートのMESFETやHEMTとして作られます。デバイスの製造にはMOCVDやMBEによるエピタキシャル成長が欠かせません。ヒ素を含むため、加工くずや廃液の処理にも注意が必要です。主な基板メーカーには住友電気工業などがあり、デバイスではSkyworksやQorvo、ファウンドリではWIN Semiconductorsなどが知られています。