ホッピング伝導(Hopping Conduction)とは、電子が結晶全体に広がったエネルギー帯の中を自由に動くのではなく、空間的に局在した(特定の場所に閉じ込められた)状態から近くの別の局在状態へと、跳び移る(ホップする)ことで電流が流れる伝導の仕組みです。通常の結晶の半導体では電子は伝導帯の中を波のように広がって動きますが、原子の並びが乱れた物質や、不純物がまばらにある状態では、電子がそれぞれの場所に局在し、熱のエネルギーを借りて隣へ跳び移るしかなくなります。
電子が局在する理由の一つが、乱れによって電子の波が打ち消し合い閉じ込められるアンダーソン局在です。アモルファス(非晶質)シリコンやアモルファスの絶縁膜、有機半導体、不純物を多く含む半導体の低温状態などでホッピング伝導が起こります。跳び移りには熱による助けが必要なため、温度が上がるほど電気が流れやすくなり、移動度は結晶の半導体よりはるかに小さくなります。低温では、近い場所だけでなくエネルギーの近い遠くの場所へも跳ぶ可変領域ホッピング(バリアブルレンジホッピング)が起こり、伝導度が温度の1/4乗に関係した特有の依存性を示すことが知られています。
半導体デバイスでは、ホッピング伝導はリーク電流の仕組みとして重要です。窒化シリコン膜や高誘電率膜など、欠陥による準位を多く含む絶縁膜では、電子が欠陥の準位を伝って移動し、リーク電流や電荷の抜けの原因になります。相変化メモリのアモルファス状態や、抵抗変化メモリの高抵抗状態の電気伝導も、ホッピング伝導で説明されることがあります。有機ELや有機トランジスタでは、分子の間を電荷が跳び移るホッピングが伝導の主な仕組みで、移動度を高める材料設計が進められています。