ホッピング伝導とは

Hopping Conduction

最終更新:2026-10-03・製造プロセス|用語集のExcel・PDF版をダウンロード

ホッピング伝導とは?

ホッピング伝導とは、電子が空間的に局在した状態から近くの別の局在状態へ跳び移ることで電流が流れる伝導の仕組みです。原子の並びが乱れたアモルファス物質や有機半導体、不純物の多い半導体の低温状態で起こり、温度が高いほど流れやすく移動度は小さくなります。絶縁膜のリーク電流の仕組みとしても重要です。

定義・解説

ホッピング伝導(Hopping Conduction)とは、電子が結晶全体に広がったエネルギー帯の中を自由に動くのではなく、空間的に局在した(特定の場所に閉じ込められた)状態から近くの別の局在状態へと、跳び移る(ホップする)ことで電流が流れる伝導の仕組みです。通常の結晶の半導体では電子は伝導帯の中を波のように広がって動きますが、原子の並びが乱れた物質や、不純物がまばらにある状態では、電子がそれぞれの場所に局在し、熱のエネルギーを借りて隣へ跳び移るしかなくなります。

電子が局在する理由の一つが、乱れによって電子の波が打ち消し合い閉じ込められるアンダーソン局在です。アモルファス(非晶質)シリコンやアモルファスの絶縁膜、有機半導体、不純物を多く含む半導体の低温状態などでホッピング伝導が起こります。跳び移りには熱による助けが必要なため、温度が上がるほど電気が流れやすくなり、移動度は結晶の半導体よりはるかに小さくなります。低温では、近い場所だけでなくエネルギーの近い遠くの場所へも跳ぶ可変領域ホッピング(バリアブルレンジホッピング)が起こり、伝導度が温度の1/4乗に関係した特有の依存性を示すことが知られています。

半導体デバイスでは、ホッピング伝導はリーク電流の仕組みとして重要です。窒化シリコン膜や高誘電率膜など、欠陥による準位を多く含む絶縁膜では、電子が欠陥の準位を伝って移動し、リーク電流や電荷の抜けの原因になります。相変化メモリのアモルファス状態や、抵抗変化メモリの高抵抗状態の電気伝導も、ホッピング伝導で説明されることがあります。有機ELや有機トランジスタでは、分子の間を電荷が跳び移るホッピングが伝導の主な仕組みで、移動度を高める材料設計が進められています。

よくある質問(FAQ)

ホッピング伝導とバンド伝導の違いは何ですか?▾
バンド伝導では、電子が結晶全体に広がったエネルギー帯の中を波のように自由に動きます。ホッピング伝導では、電子が特定の場所に局在していて、熱のエネルギーを借りて隣の場所へ跳び移りながら移動します。そのためホッピング伝導の移動度は小さく、温度が上がるほど電気が流れやすくなります。
アンダーソン局在とは何ですか?▾
物質の中の原子の並びや不純物の配置が乱れていると、電子の波が散乱されて打ち消し合い、電子が特定の場所に閉じ込められる現象です。物理学者アンダーソンが理論的に示しました。局在した電子はホッピング伝導でしか動けなくなります。

関連カテゴリ

関連用語

同じトピックの用語

半導体物理・結晶の基礎 のトピックで関連する用語です。

同じトピックの企業

信越化学工業日本SUMCO日本GlobalWafers(環球晶圓)台湾

比較・違いを学ぶ

SiCとシリコン(Si)の違い
シリコンは半導体産業の標準材料で、ロジックやメモリはもちろん、パワー半導体でもIGBTやMOSFETとして大量に使われています。そこに近年、EVの普及とともに採…
→
四探針法とホール効果測定の違い
どちらも半導体の電気特性を測る基本手法ですが、得られる情報の量が違います。四探針法は抵抗率という1つの値を素早く測れる一方、その値の内訳までは教えてくれません。…
→
イオン注入と熱拡散の違い(不純物導入プロセスの比較)
イオン注入(Ion Implantation)は不純物(ドーパント)をイオン化・加速して基板に物理的に打ち込む方法で、ドーズ量と加速エネルギーにより濃度と接合深…
→
← 用語集に戻る用語集をExcel・PDFで使う →