ダングリングボンドとは

Dangling Bond

最終更新:2026-10-03・製造プロセス|用語集のExcel・PDF版をダウンロード

ダングリングボンドとは?

ダングリングボンド(未結合手)とは、原子が持つ結合の手のうち、相手がなく余ってしまった手のことです。シリコンの表面や酸化膜との界面、欠陥、アモルファスの部分に生じ、バンドギャップ中に準位を作ってキャリアを捕獲・再結合させます。製造ではフォーミングガス中の熱処理などで水素で終端して無害化します。

定義・解説

ダングリングボンド(Dangling Bond:未結合手)とは、原子が本来持つ結合の手のうち、結合する相手がなく余ってしまった結合の手のことです。「ぶら下がった結合」という意味です。シリコンの原子は4本の結合の手を持ち、結晶の内部では隣の4つの原子とすべての手で結合していますが、結晶の表面や、酸化膜との界面、結晶の欠陥やアモルファス(非晶質)の部分では、相手がいない手が生じます。

ダングリングボンドは、バンドギャップの中にエネルギー準位(欠陥準位)を作るため、電子や正孔を捕まえたり、電子と正孔の再結合を仲立ちしたりします。MOSトランジスタでは、シリコンとゲート酸化膜の界面のダングリングボンドが界面準位となり、キャリアを捕獲してしきい値電圧をずらし、移動度を下げ、雑音(1/fノイズ)を増やします。太陽電池やイメージセンサーでは、表面のダングリングボンドが光で生まれたキャリアを再結合で失わせ、変換効率の低下や暗電流の原因になります。

そのため、ダングリングボンドを水素などの原子で結合させてふさぐ処理(パッシベーション)が行われます。MOSトランジスタの製造の終わりには、水素を含むフォーミングガス中で400℃前後の熱処理を行い、界面のダングリングボンドを水素で終端して界面準位を大幅に減らします。アモルファスシリコンの膜も、水素を含ませる(a-Si:H)ことでダングリングボンドを減らし、太陽電池や薄膜トランジスタに使えるようになりました。ただし、使用中の電界や熱で水素が外れるとダングリングボンドが再び現れ、NBTIやホットキャリアによる特性劣化の原因になります。

よくある質問(FAQ)

ダングリングボンドはなぜ問題になるのですか?▾
バンドギャップの中にエネルギー準位を作り、電子や正孔を捕まえたり再結合させたりするためです。トランジスタではしきい値電圧のずれや移動度の低下、雑音の増加を、太陽電池やイメージセンサーでは効率の低下や暗電流の増加を引き起こします。
ダングリングボンドはどうやって減らしますか?▾
水素などの原子で余った結合の手をふさぐ(終端する)パッシベーションで減らします。MOSトランジスタでは、水素を含むフォーミングガス中で400℃前後の熱処理を行い、シリコンと酸化膜の界面のダングリングボンドを水素で終端します。

関連カテゴリ

関連用語

同じトピックの用語

半導体物理・結晶の基礎 のトピックで関連する用語です。

同じトピックの企業

信越化学工業日本SUMCO日本GlobalWafers(環球晶圓)台湾

比較・違いを学ぶ

SiCとシリコン(Si)の違い
シリコンは半導体産業の標準材料で、ロジックやメモリはもちろん、パワー半導体でもIGBTやMOSFETとして大量に使われています。そこに近年、EVの普及とともに採…
→
四探針法とホール効果測定の違い
どちらも半導体の電気特性を測る基本手法ですが、得られる情報の量が違います。四探針法は抵抗率という1つの値を素早く測れる一方、その値の内訳までは教えてくれません。…
→
イオン注入と熱拡散の違い(不純物導入プロセスの比較)
イオン注入(Ion Implantation)は不純物(ドーパント)をイオン化・加速して基板に物理的に打ち込む方法で、ドーズ量と加速エネルギーにより濃度と接合深…
→
← 用語集に戻る用語集をExcel・PDFで使う →