結晶粒界とは

Grain Boundary

最終更新:2026-10-03・材料・製造プロセス|用語集のExcel・PDF版をダウンロード

結晶粒界とは?

結晶粒界とは、多結晶の材料の中で向きの異なる結晶粒どうしが接している境目のことで、原子の並びが乱れています。多結晶シリコンでは粒界がキャリアを捕まえて抵抗を上げ、微細な銅配線では電子の散乱で抵抗が上がり、エレクトロマイグレーションの原子の通り道にもなります。熱処理による粒の成長などで影響を抑えます。

定義・解説

結晶粒界(Grain Boundary:粒界)とは、多結晶の材料の中で、結晶の向き(方位)が異なる小さな結晶(結晶粒)どうしが接している境目のことです。1つの結晶粒の中では原子が規則正しく並んでいますが、粒界では隣の粒と原子の並びが合わないため、原子の配列が乱れ、結合の手が余ったり、すき間が多くなったりします。半導体では、単結晶のシリコン基板には粒界がありませんが、ゲート電極や配線に使う多結晶シリコン(ポリシリコン)や金属の膜は、多数の結晶粒と粒界を含んでいます。

粒界は電気的な性質に大きく影響します。多結晶シリコンでは、粒界の乱れた原子がキャリアを捕まえる準位を作り、粒界に電荷が溜まって電位の壁ができるため、同じドーパント濃度の単結晶より抵抗が高くなり、移動度も下がります。また、ドーパントは粒界に集まりやすく、粒界に沿って速く拡散します。高性能なトランジスタに単結晶シリコンが不可欠なのは、粒界によるキャリアの散乱や再結合がないためです。

金属配線では、粒界は抵抗と信頼性の両方に関わります。銅配線の幅が数十nm以下になると、結晶粒が小さくなって粒界の割合が増え、電子が粒界で散乱されるため、配線の抵抗率が材料本来の値より大きく上がります。さらに、電流によって金属原子が移動するエレクトロマイグレーションでは、粒界が原子の速い通り道になります。粒界が配線を横切るように並んだ竹の節のような構造(バンブー構造)にすると、原子が粒界に沿って長く移動できなくなり、寿命が延びます。熱処理で結晶粒を大きく成長させることも、抵抗と信頼性の改善に使われます。

よくある質問(FAQ)

多結晶シリコンの抵抗が単結晶より高いのはなぜですか?▾
結晶粒界の乱れた原子がキャリアを捕まえる準位を作り、粒界に電荷が溜まって電位の壁ができるためです。キャリアはこの壁を越えなければ隣の粒へ移れず、粒界での散乱も加わるため、同じドーパント濃度でも抵抗が高く、移動度も低くなります。
配線が細くなると抵抗が上がるのはなぜですか?▾
配線が細くなると結晶粒が小さくなって粒界の割合が増え、電子が粒界や配線の表面で散乱されやすくなるためです。そのため数十nm以下の配線では、抵抗率が銅本来の値より大きく上がり、ルテニウムやモリブデンなど別の材料の検討も進んでいます。

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