プラズマドーピング(PLAD:Plasma Doping、PIII とも)とは、ドーパントを含むガスのプラズマ中にウェハを置き、負のパルス電圧を印加してイオンを引き込み、表面に打ち込むドーピング手法です。質量分析器で特定イオンだけを選別してビームとして走査するビームライン式と違い、プラズマから面全体へ一括してイオンを供給します。
最大の利点はスループットです。ビームライン式では、低エネルギー・高ドーズの条件でビーム電流を確保しにくく(空間電荷効果でビームが広がる)、処理時間が長くなります。PLADはビームを引き回さないためこの制約がなく、10¹⁵〜10¹⁶atoms/cm²級の高ドーズを短時間で処理できます。1keV以下という極めて低いエネルギー領域でも実用的な生産性が得られます。
もう一つの利点が、3次元構造への等角ドーピングです。ビームライン式は直進するイオンビームを傾けて当てるため、深いトレンチの側壁や高アスペクト比構造の底部に均一に打ち込むのが困難です。PLADではウェハを取り囲むシースからイオンが供給されるため、側壁も含めた立体形状に対して比較的均一なドーピングが可能で、DRAMのキャパシタや3D NANDの構造、FinFETのフィン側壁などで採用されます。
課題は、質量分離をしないことに由来します。プラズマ中にはドーパント以外の分子イオンや水素も含まれ、それらも一緒に打ち込まれるため、不要な元素の混入や表面のダメージが生じます。エネルギー分布も単一ではなく広がりを持つため、プロファイルの精密制御という点ではビームライン式に劣ります。また、装置内壁からの汚染管理も重要な運用課題です。
したがって両者は競合ではなく棲み分けの関係にあります。プロファイルの精度が要る工程(チャネルドーピング、ハロー注入、ウェル形成)はビームライン式、高ドーズ・低エネルギー・立体構造の工程(コンタクト部、3D構造の側壁)はPLAD、という使い分けが一般的です。装置はApplied Materials・韓国のPSKなどが供給しています。