プラズマドーピング(PLAD)とは

Plasma Doping (PLAD)

最終更新:2026-10-07・プラズマドーピング装置・イオン注入装置|用語集のExcel・PDF版をダウンロード

プラズマドーピング(PLAD)とは?

プラズマドーピング(PLAD)とは、ドーパントを含むガスのプラズマ中でウェハに負のパルス電圧を印加し、イオンを面全体へ一括して引き込むドーピング手法です。ビームを引き回さないため低エネルギー・高ドーズでも生産性が高く、トレンチ側壁など3次元構造への等角ドーピングに向きます。質量分離をしないため、プロファイル精度ではビームライン式に劣ります。

定義・解説

プラズマドーピング(PLAD:Plasma Doping、PIII とも)とは、ドーパントを含むガスのプラズマ中にウェハを置き、負のパルス電圧を印加してイオンを引き込み、表面に打ち込むドーピング手法です。質量分析器で特定イオンだけを選別してビームとして走査するビームライン式と違い、プラズマから面全体へ一括してイオンを供給します。

最大の利点はスループットです。ビームライン式では、低エネルギー・高ドーズの条件でビーム電流を確保しにくく(空間電荷効果でビームが広がる)、処理時間が長くなります。PLADはビームを引き回さないためこの制約がなく、10¹⁵〜10¹⁶atoms/cm²級の高ドーズを短時間で処理できます。1keV以下という極めて低いエネルギー領域でも実用的な生産性が得られます。

もう一つの利点が、3次元構造への等角ドーピングです。ビームライン式は直進するイオンビームを傾けて当てるため、深いトレンチの側壁や高アスペクト比構造の底部に均一に打ち込むのが困難です。PLADではウェハを取り囲むシースからイオンが供給されるため、側壁も含めた立体形状に対して比較的均一なドーピングが可能で、DRAMのキャパシタや3D NANDの構造、FinFETのフィン側壁などで採用されます。

課題は、質量分離をしないことに由来します。プラズマ中にはドーパント以外の分子イオンや水素も含まれ、それらも一緒に打ち込まれるため、不要な元素の混入や表面のダメージが生じます。エネルギー分布も単一ではなく広がりを持つため、プロファイルの精密制御という点ではビームライン式に劣ります。また、装置内壁からの汚染管理も重要な運用課題です。

したがって両者は競合ではなく棲み分けの関係にあります。プロファイルの精度が要る工程(チャネルドーピング、ハロー注入、ウェル形成)はビームライン式、高ドーズ・低エネルギー・立体構造の工程(コンタクト部、3D構造の側壁)はPLAD、という使い分けが一般的です。装置はApplied Materials・韓国のPSKなどが供給しています。

図解

プラズマドーピング(PLAD)の手順(プラズマ・パルス電圧・一括注入・立体構造)
3次元構造に均一にドーピングしたい工程で使われる。

紛らわしい言葉の切り分け

ビームライン式イオン注入とプラズマドーピング。違いは打ち込むイオンを選び分けるかどうかです。ビームライン式は質量分析で狙ったイオンだけを選んで打つため、分布を精密に制御できます。プラズマドーピングは選別せずにプラズマから一括で打ち込むため、低エネルギー・高ドーズでの生産性が高く、立体構造の側面にも打ち込めます。 比較記事 →

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よくある質問(FAQ)

ビームライン式と比べた利点は何ですか?▾
低エネルギー・高ドーズ条件でのスループットと、3次元構造への等角ドーピングです。ビームを引き回さないため空間電荷効果の制約を受けず、1keV以下でも生産性を保てます。またシースからイオンが供給されるためトレンチ側壁にも均一に打ち込めます。
PLADの弱点は何ですか?▾
質量分離をしないことです。プラズマ中のドーパント以外の分子イオンや水素も一緒に打ち込まれ、不要元素の混入や表面ダメージが生じます。エネルギー分布にも広がりがあるため、プロファイルの精密制御ではビームライン式に劣ります。
どの工程で使われるのですか?▾
高ドーズ・低エネルギー・立体構造という条件が揃う工程です。DRAMのキャパシタ、3D NANDの構造、FinFETのフィン側壁、コンタクト部の高濃度層などが代表例で、プロファイル精度が要るチャネルドーピングやハロー注入はビームライン式が担います。

設備の製造メーカー

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PSK Holdings韓国

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Axcelis Technologies米国

イオン注入装置の専業メーカー。Purionシリーズで低〜高エネルギーの注入をカバーし、先端ロジック・メモリ・S…

ULVAC(アルバック)日本

真空技術を核に、スパッタ・CVD・蒸着・エッチング・測定装置を手がける日本の総合真空機器メーカー。半導体に加え…

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型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

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出典・参考資料

  1. Applied Materials「VIISta® PLAD 製品ページ」(2026/10/07 確認)
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