配線RC遅延計算ツール(Cu・Co・Ru・Mo比較)

最終更新:2026-09-21

要点

微細配線の遅延は抵抗Rと容量Cの積で決まります。銅は電子の平均自由行程が約40nmと長く、線幅がそれに近づくと表面・粒界散乱で抵抗率が急上昇し、さらにバリアメタルが導体断面を削ります。このため線幅十数nm以下では、バルク抵抗率の高いルテニウムやモリブデンとの差が縮まり、容量側はlow-k膜やエアギャップで下げていきます。

配線形状の入力

RC遅延 τ = 0.38RC65.51ps
実効抵抗率(導体部分)6.01µΩ·cm
バルク抵抗率1.68µΩ·cm
単位長さ抵抗98.8Ω/µm
単位長さ容量174.5aF/µm
配線全体の抵抗 R9,880Ω
配線全体の容量 C17.45fF
導体の断面(バリア除く)16.0 × 38.0nm

サイズ効果は表面散乱(Fuchs–Sondheimer)と粒界散乱(Mayadas–Shatzkes)を足し合わせた簡易近似で、完全拡散散乱・粒界反射係数0.25・粒径=導体幅を仮定しています。実際の値は成膜条件やアニールによる粒成長で変わるため、傾向を比べるための概算として使ってください。ドライバ抵抗と負荷容量は含みません。

金属別の比較(同じ形状)

線幅 20nm・高さ 40nm・間隔 20nm・k=2.7。バリア厚は各金属の代表値
金属バリア実効ρ [µΩ·cm]抵抗 [Ω/µm]遅延(L=100µm)抵抗のCu比
銅(Cu)2 nm6.09965.5 ps1.00 倍
コバルト(Co)1 nm10.514998.8 ps1.51 倍
ルテニウム(Ru)0 nm9.612079.5 ps1.21 倍
モリブデン(Mo)0 nm9.211676.6 ps1.17 倍
タングステン(W)1 nm10.114495.2 ps1.45 倍

線幅と実効抵抗率(バリア込みの断面で平均)

0102030401020304050線幅(nm)実効抵抗率(µΩ·cm)
銅(Cu)コバルト(Co)ルテニウム(Ru)モリブデン(Mo)

バリア層の断面も含めた配線全体で平均した抵抗率です。線幅が細くなると、平均自由行程が長くバリアが必要な銅は急激に不利になり、ルテニウムやモリブデンとの差が縮まります。

微細配線で銅が不利になる理由

銅はバルクでは最も抵抗率の低い実用金属ですが、電子の平均自由行程が約40nmと長いため、線幅がそれに近づくと表面や結晶粒界での散乱で抵抗率が急上昇します。さらに銅は絶縁膜中へ拡散するので数nmのバリアメタルが必須で、線幅20nmではその分だけで導体断面の2割以上を失います。

ルテニウムやモリブデンはバルクの抵抗率こそ銅の3〜4倍ありますが、平均自由行程が短くサイズ効果が小さいうえ、バリアを薄くするか省けます。このため最も細い下層配線から、銅の置き換えが検討されています。一方、容量はlow-k膜やエアギャップで下げるしかなく、RC遅延の改善は抵抗と容量の両面から進められています。

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