ルテニウム配線(Ruthenium Interconnect)とは、半導体チップの細線配線材料として、従来の銅(Cu)に代わりルテニウム(Ru)を用いる技術です。ルテニウムは白金族に属する希少金属で、配線幅がナノメートルスケールまで狭くなった場合に銅より低い実効抵抗率を示す点が最大の特長です。Intel・Applied Materials・imecが積極的に研究・実装を推進しています。
銅配線は配線幅が10nm以下になると、表面散乱とグレインバウンダリー散乱の影響で抵抗率が急激に増加します。さらに銅はシリコンや酸化膜中への拡散防止のためTaN/Taバリアメタルが必要で、このバリア層が実効的な配線断面積をさらに圧迫します。一方、ルテニウムは自己パッシベーション効果によりバリアメタルなし(またはバリア極薄化)での利用が可能で、細線での実効抵抗を大幅に低減できます。
IntelはM0(ゲートコンタクト層)にルテニウム、M1以上に銅を組み合わせたハイブリッド配線を採用していると報告されています。Applied MaterialsはRuのALD(原子層堆積)成膜とCMP(化学機械研磨)技術の開発を主導し、「Endura Volta CVD Ru」などの装置を市場に投入しています。TSMCもN2以降のローカル配線層でRu適用を検討中です。
製造プロセスの観点では、RuのALD(ルテニウム前駆体+酸化剤による低温成膜)が有効ですが、カーボン混入・膜密度・CMP後の表面品質など克服すべき課題があります。Ruは希少金属であり調達コストと価格変動がリスクとなるため、使用量の最小化(バリアレス極薄膜)や再利用技術の開発も重要なテーマです。
ルテニウム配線は先端ロジックチップのローカル配線(M0〜M2レベル)での採用が先行しており、将来的には高密度DRAMのストレージノードコンタクトや3D NAND構造への応用も議論されています。Ru配線の普及は、ALDプロセスガス・ルテニウム前駆体材料・CMP用スラリーなどの新規材料需要を生み出しており、材料サプライヤー(JSR・Merck・Umicore等)にとって重要な成長分野となっています。