最終更新 2026-10-10

ドリフト電流・拡散電流とは

Drift Current and Diffusion Current

ドリフト電流とは電界に引かれてキャリアが移動して流れる電流、拡散電流とはキャリアが濃度の高い場所から低い場所へ広がって流れる電流です。ドリフト電流はキャリア濃度・移動度・電界に、拡散電流は濃度勾配と拡散係数に比例し、両者はアインシュタインの関係式D=(kT/q)μで結ばれています。pn接合やMOSFETの動作の基礎です。

目次6項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 関連用語
  5. 比較・違いを学ぶ
  6. 出典・参考資料

定義・解説

ドリフト電流と拡散電流は、半導体の中でキャリア(電子・正孔)が流れる2つの仕組みです。ドリフト電流は、電界に引かれてキャリアが移動することで流れる電流です。拡散電流は、キャリアが濃度の高い場所から低い場所へ広がることで流れる電流です。金属の電流はほぼドリフトだけで説明できますが、半導体ではドーピングによって場所ごとにキャリア濃度が大きく異なるため、両方を考える必要があります。

電子のドリフト電流密度は J=qnμE で表され、電荷q、キャリア濃度n、移動度μ、電界Eに比例します。キャリアの速度は弱い電界では電界に比例しますが、強い電界(シリコンで10⁴〜10⁵V/cm程度以上)では約1×10⁷cm/sで頭打ちになります(速度飽和)。電子の拡散電流密度は J=qD(dn/dx)で表され、濃度の勾配と拡散係数Dに比例します。移動度と拡散係数はアインシュタインの関係式 D=(kT/q)μ で結ばれており、室温ではkT/qは約0.026Vです。

pn接合では、熱平衡の状態で濃度差による拡散電流と、内蔵電位による電界のドリフト電流が釣り合い、正味の電流はゼロになります。順方向に電圧をかけると障壁が下がって拡散電流が指数関数的に増え、これがダイオードの整流作用の源になります。MOSFETでは、オンの状態(強反転)ではチャネルのドリフト電流が主役ですが、しきい値電圧以下のサブスレッショルド領域では拡散電流が支配的になり、ドレイン電流がゲート電圧に対して指数関数的に変化します。その傾きの限界(室温で約60mV/桁)が、低電圧化の壁になっています。2つの電流を組み合わせたドリフト拡散モデルは、デバイスシミュレーション(TCAD)の基本となる考え方です。

図解

ドリフト電流と拡散電流の比較(原因・比例関係・主役になる場面)
pn接合やMOSFETの動作は、この2つの電流の釣り合いで説明できる。

よくある質問(FAQ)

ドリフト電流と拡散電流の違いは何ですか?
ドリフト電流は電界の力でキャリアが動くことで流れ、電界の強さに比例します。拡散電流は電界がなくても、キャリアの濃度差によって高い場所から低い場所へ広がることで流れ、濃度の勾配に比例します。半導体の電流はこの2つの合計で表されます。
pn接合で電流が流れないのはなぜですか?
電圧をかけていない熱平衡の状態では、濃度差による拡散電流と、接合部の内蔵電位が作る電界によるドリフト電流が、同じ大きさで逆向きに流れて打ち消し合うためです。順方向に電圧をかけるとこの釣り合いが崩れ、拡散電流が大きく流れます。

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出典・参考資料

  1. HyperPhysics(ジョージア州立大学)「Microscopic Electric Current」(2026/10/10 確認)