ADC の SNR・ENOB 計算ツール
要点
N ビット ADC の理想 SNR は 6.02N + 1.76 dB で、実効ビット数は ENOB = (SINAD − 1.76) / 6.02 です。実際の ADC は熱雑音・ジッタ・非線形性で公称分解能より1〜3ビット小さくなります。ジッタで決まる SNR は −20·log₁₀(2π·fin·tj) で、1GHz の信号で70dBを得るにはジッタを約50fsに抑える必要があります。
設計値から SNR・ENOB を見積もる
総合 SNR72.92dB
実効ビット数 ENOB(総合)11.82bit
量子化で決まる SNR(OSR込み)74.00dB
ジッタで決まる SNR84.04dB
熱雑音で決まる SNR81.34dB
1 LSB0.8057mV
ナイキスト周波数 fs/250.0MHz
測定した SINAD から ENOB を求める
ENOB(フルスケール換算)11.17bit
SINAD はフルスケールより小さい振幅で測ることが多いため、不足分(−1 dBFS なら 1 dB)を足してフルスケール換算の ENOB にしています。
入力周波数とジッタで決まる SNR の上限(ジッタ 1 ps)
分解能と理想 SNR・LSB
| 分解能 | 理想SNR | 階調数 | 1 LSB(Vref = 3.3 V) |
|---|---|---|---|
| 8 bit | 49.92 dB | 256 | 12,890 µV |
| 10 bit | 61.96 dB | 1,024 | 3,223 µV |
| 12 bit | 74.00 dB | 4,096 | 805.7 µV |
| 14 bit | 86.04 dB | 16,384 | 201.4 µV |
| 16 bit | 98.08 dB | 65,536 | 50.35 µV |
| 18 bit | 110.12 dB | 262,144 | 12.59 µV |
| 20 bit | 122.16 dB | 1,048,576 | 3.147 µV |
| 24 bit | 146.24 dB | 16,777,216 | 0.1967 µV |
ENOB が分解能より小さくなる理由
N ビットの理想的なADCでも、アナログ値を2^N段に丸める量子化誤差が雑音として残り、フルスケールの正弦波に対するSNRは 6.02N + 1.76 dB になります。実際のADCでは、これに熱雑音、クロックのジッタ、コンパレータのオフセットや非線形性(歪み)が加わり、測定したSINADから逆算した実効ビット数(ENOB)は公称の分解能より1〜3ビット程度小さくなります。
高い周波数の信号を扱うほど、サンプリングの瞬間のずれ(ジッタ)が大きな電圧誤差になります。1GHzの信号で70dBのSNRを得るには、ジッタを50fs程度に抑える必要があります。無線通信や計測器向けの高速ADCでは、クロック源の性能が分解能と同じくらい重要です。