用語ロジックプロセス最終更新 2026-10-10出典 1件Excel・PDF版

クロックツリー合成(CTS)とは

Clock Tree Synthesis

クロックツリー合成(CTS)とは、配置配線の途中で、PLLなどのクロック源からチップ内の全フリップフロップへほぼ同時にクロックが届くよう、バッファを多段に挿入した配線網を自動生成する工程です。到着時刻のばらつき(スキュー)を抑えることが目的で、クロック網は動的電力の3〜4割を占めることもあるため省電力化も重要な課題です。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

クロックツリー合成(CTS:Clock Tree Synthesis)とは、配置配線の工程で、クロック信号を1つの発生源(PLLなど)からチップ内の数十万〜数百万個のフリップフロップへ、ほぼ同じタイミングで届けるための配線網(クロックツリー)を自動生成する作業です。クロックはすべての同期回路の拍子を取る信号であり、届くタイミングがずれると回路が正しく動作しなくなるため、配置と配線の間に独立した工程として行われます。

CTSで管理する主な指標は次の2つです。(1)スキュー:各フリップフロップにクロックが到着する時刻のばらつき。大きいとセットアップ時間やホールド時間の違反につながります。(2)レイテンシ(挿入遅延):発生源から末端までの遅延の絶対値。長いほど電圧・温度のばらつきの影響を受けやすくなります。CTSツールはバッファやインバータを多段に挿入し、配線長と負荷を均等化することでスキューを抑えます。

クロックツリーは消費電力の大きな割合を占めます。クロック信号は毎サイクル必ず0と1を往復するため、配線容量の充放電が常に発生し、チップの動的消費電力の3〜4割がクロック網で消費されることもあります。このため、使っていないブロックへのクロック供給を止めるクロックゲーティングの挿入や、ツリーの段数と配線長の最小化がCTSの重要な目標になっています。

構造にはいくつかの型があります。汎用的なのはバッファを木構造に並べるバッファツリーで、高性能プロセッサでは配線を格子状につないでばらつきを平均化するクロックメッシュや、左右対称のHツリーが使われます。また、あえてスキューを付けて遅いパスに時間を融通する「有用スキュー(useful skew)」という手法もあり、CTSはスキューを減らすだけでなくタイミング最適化の手段としても使われています。

図解

配置配線におけるクロックツリー合成(CTS)の位置と目的
PLLなどのクロック源から、チップ全体へクロックを配る。

関連するデータ・ツール

計算・換算ツールセットアップ・ホールド タイミング計算ツール

よくある質問(FAQ)

クロックスキューとは何ですか?
同じクロック信号が、チップ内の各フリップフロップに到着する時刻のずれのことです。スキューが大きいと、データの受け渡しでセットアップ時間やホールド時間が満たせなくなり、誤動作の原因になります。
なぜCTSは配置と配線の間に行うのですか?
クロックを受けるフリップフロップの位置が決まらないと配線長を均等化できず、逆に信号配線を先に引いてしまうとクロック配線の通り道がなくなるためです。配置でセルの位置を確定させた後、信号配線より優先してクロック網を作ります。

設備の製造メーカー

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チップ設計フロー(RTL〜テープアウト) のトピックで関連する用語です。

同じトピックの企業

TSMC(台湾積体電路製造)台湾

比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. Cadence「Clock Tree Synthesis (CTS): The Backbone of Physical Design」(2026/10/10 確認)