用語ロジックプロセス最終更新 2026-10-10出典 1件Excel・PDF版

STA(静的タイミング解析)とは

Static Timing Analysis

STA(静的タイミング解析)とは、回路を動かすことなく、全信号経路のセル遅延と配線遅延を積み上げて、データがクロック周期内に届くか(セットアップ)と早すぎないか(ホールド)を網羅的に検証する手法です。PVTコーナーと動作モードを掛け合わせた数十条件で解析するのが標準で、Synopsys PrimeTimeやCadence Tempusがサインオフに使われます。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

STA(Static Timing Analysis:静的タイミング解析)とは、回路のすべての信号経路(パス)について、信号が目標のクロック周期内に届くかを入力パターンなしで検証する手法です。回路を実際に動かして確かめるシミュレーションとは違い、各セルと配線の遅延を積み上げて経路ごとの到着時刻を計算するため、数十億ゲート規模の回路でも全パスを網羅的に検査できます。論理合成後から配置配線、最終のサインオフまで繰り返し使われます。

STAの基本は2種類のチェックです。(1)セットアップチェック:データが次のクロックエッジより一定時間前に到着しているか(遅すぎないか)を確認し、違反すると動作周波数を上げられません。(2)ホールドチェック:データがクロックエッジの直後に変化しないか(早すぎないか)を確認し、違反すると周波数を下げても直らない致命的な不良になります。要求時刻と到着時刻の差をスラック(余裕)と呼び、負のスラックが違反を意味します。

STAの結果は、製造ばらつきと動作条件の想定に強く依存します。プロセスの速い・遅い(コーナー)、電源電圧、温度の組合せ(PVTコーナー)ごとに解析し、さらに動作モード(通常動作・テストモードなど)を掛け合わせた数十通りの条件を同時に検証するMCMM(マルチコーナー・マルチモード)が標準です。チップ内の局所的なばらつきは、OCV・AOCV・POCVといった統計的な補正で遅延に上乗せします。

精度を決めるのは入力データです。セルの遅延はPDKに含まれるタイミングライブラリ(Libertyファイル)から、配線の遅延は寄生抽出(PEX)で求めた抵抗・容量から計算されます。代表的なサインオフツールにSynopsys PrimeTimeとCadence Tempusがあります。なお、STAは信号の論理的な正しさは見ないため、機能の検証にはシミュレーションや形式検証を併用します。

図解

STA(静的タイミング解析)で確かめること(セットアップ・ホールド・PVTコーナー・動作モード)
シミュレーションと違い、入力パターンを用意せずに網羅的に調べられる。

関連するデータ・ツール

計算・換算ツールセットアップ・ホールド タイミング計算ツール

よくある質問(FAQ)

STAとタイミングシミュレーションの違いは何ですか?
タイミングシミュレーションは入力パターンを与えて回路を動かし、そのパターンで通った経路だけを確認します。STAはパターンを使わず全経路の遅延を計算するため網羅性が高く、大規模回路でも短時間で済みます。一方でSTAは論理機能の正しさは検証しないので、両者は役割が異なります。
スラックとは何ですか?
信号が到着すべき要求時刻と実際の到着時刻の差で、タイミングの余裕を表します。正なら余裕があり、負ならタイミング違反です。チップ全体で最も悪いスラック(WNS)と、負のスラックの合計(TNS)が収束状況の指標として使われます。
ホールド違反はなぜ致命的なのですか?
セットアップ違反はクロック周波数を下げれば解消できますが、ホールド違反はデータが早く届きすぎることが原因なので、周波数を変えても直りません。製造後に見つかると救済手段がないため、サインオフ時に確実に潰す必要があります。

設備の製造メーカー

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. Synopsys「What is Static Timing Analysis (STA)?」(2026/10/10 確認)