PDK(プロセス設計キット)とは

Process Design Kit

最終更新:2026-09-21ロジックプロセス

PDK(プロセス設計キット)とは?

PDK(プロセス設計キット)とは、ファウンドリが自社プロセスで回路を設計してもらうために提供する、SPICEモデル・デザインルール・DRC/LVSデッキ・寄生抽出ファイルなどのデータ一式です。ファブレス企業はPDKなしにはそのプロセス向けの設計を始められず、通常はNDAの下で提供されますが、SKY130のようなオープンPDKも登場しています。

定義・解説

PDK(Process Design Kit:プロセス設計キット)とは、ファウンドリが特定の製造プロセスで回路を設計するために設計者へ提供するデータ一式です。そのプロセスで作れるトランジスタの電気特性モデル、守るべき設計ルール、検証ツール用のルールファイルなどがまとめられており、ファブレス企業はPDKを入手して初めてそのプロセス向けの設計に着手できます。いわば製造工程を設計の言葉に翻訳した「プロセスの取扱説明書」です。

PDKの主な構成要素は次のとおりです。(1)SPICEモデル:トランジスタや抵抗・容量の電気特性を表す回路シミュレーション用モデル(FinFET/GAA世代ではBSIM-CMGなど)。(2)デザインルールとDRCデッキ:配線幅・間隔・重なりなどの幾何学的制約と、それを検査するルールファイル。(3)LVSデッキ・寄生抽出(PEX)用の技術ファイル。(4)デバイスのシンボルとパラメトリックセル(Pcell)。(5)レイヤーマップ。標準セルライブラリやI/Oライブラリは、ファウンドリまたはIPベンダーが別途提供するのが一般的です。

PDKは製造プロセスの成熟度に合わせて版が上がります。量産前の0.1版や0.5版はモデルやルールが暫定で、1.0版で確定するのが通例です。先端ノードではプロセスと設計を同時に最適化するDTCOが前提となるため、ファウンドリ・EDAベンダー・大口顧客がPDKを共同で作り込み、EDAツール側も各ノードごとに「認証(certification)」を取得します。

PDKは通常、秘密保持契約(NDA)の下でのみ提供され、プロセスの中身を示す機密情報として扱われます。一方で2020年にGoogleとSkyWaterが130nmのオープンPDK「SKY130」を公開して以降、GlobalFoundriesのGF180MCUやIHPのSG13G2など誰でも使えるPDKが増え、大学や個人がMPW(マルチプロジェクトウェハ)を通じてチップを試作する流れが生まれています。

よくある質問(FAQ)

PDKには何が入っていますか?
トランジスタの電気特性を表すSPICEモデル、配線幅や間隔などのデザインルールとそれを検査するDRCデッキ、レイアウトと回路図を照合するLVSデッキ、寄生抽出用の技術ファイル、デバイスのシンボルとパラメトリックセル、レイヤーマップが基本構成です。標準セルライブラリは別途提供されることが多いです。
PDKは誰が作るのですか?
製造プロセスを持つファウンドリ(またはIDM)が作ります。先端ノードではEDAベンダーや主要顧客と共同で作り込み、EDAツールがそのPDKで正しく動くことを確認する認証作業も並行して行われます。
オープンPDKとは何ですか?
NDAなしで誰でも入手・利用できるPDKです。2020年に公開されたSkyWaterの130nmプロセス向けSKY130が代表例で、GF180MCUやIHPのSG13G2も続きました。オープンソースのEDAツールと組み合わせ、大学や個人がMPWでチップを試作する用途に使われています。

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