テープアウトとは、チップの設計がすべての検証を通過し、最終的なレイアウトデータ(GDSIIまたはOASIS)をファウンドリに引き渡して製造工程へ送り出すことです。設計プロジェクトの最大の節目であり、この時点以降の修正はマスクの作り直しを意味するため、多額の費用と数か月の遅れを伴います。名前の由来は、かつてレイアウトデータを磁気テープに書き出してマスクメーカーに送っていたことにあります。
テープアウトの前には、サインオフと呼ばれる最終検証を一通り通過する必要があります。(1)静的タイミング解析(STA)で全コーナーのタイミングを満たすこと、(2)DRCとLVSで製造ルールと回路の一致に違反がないこと、(3)IRドロップとエレクトロミグレーションの解析で電源網が健全であること、(4)等価性検証で論理機能が変わっていないこと、などです。ファウンドリ側もデータを受け取った後、自社基準でDRCを再確認します。
テープアウトの費用は先端ノードほど高額です。1回のテープアウトで数十枚から百枚近いマスクを作る必要があり、5nmや3nmクラスではマスクセットだけで数十億円規模になるとされます。設計に誤りがあれば「リスピン」と呼ばれる再テープアウトが必要となり、費用だけでなく製品投入の遅れも招きます。配線層だけを修正する「メタルECO」で一部のマスクのみを作り直し、費用を抑える方法もあります。
テープアウトから最初のチップ(ファーストシリコン)が手元に届くまでは、プロセスの工程数に応じて数週間から3か月程度かかります。届いたチップはテスト装置で評価され、機能と性能が確認できれば量産へ進みます。試作段階では費用を抑えるため、複数の設計を1枚のマスクに相乗りさせるMPW(マルチプロジェクトウェハ)でテープアウトすることも一般的です。