ストッカーは、FOUPに収められた仕掛品ウェハを一時的に自動保管する装置です。半導体の前工程は1,000工程を超え、着工から完成まで2〜3か月かかるため、工程間で待機する仕掛品(WIP)が常に大量に存在します。ストッカーはこのWIPを清浄な環境で保管し、必要なときにOHTへ払い出すバッファとして機能します。
構造は、多段の棚とスタッカークレーン(昇降・走行する搬送機構)から成り、数百〜数千個のFOUPを収納します。入出庫はAMHS制御システムが管理し、どのFOUPがどの棚にあるかをMESと同期します。ボトルネック装置の前後や工程エリアの境界に配置され、装置の稼働率を落とさないための「緩衝材」の役割を果たします。
保管中の品質管理も重要な機能です。ウェハは工程間で待機している間にも、大気中の水分・有機物・アンモニアなどの分子状汚染(AMC)にさらされます。これを防ぐため、保管棚ごとにN₂パージを行うパージストッカーが普及しており、露光後のレジストやCu配線ウェハなど、待機時間に敏感な工程で必須の設備になっています。
運用面では、保管時間の管理(キュータイム制御)が品質を左右します。工程間の待機時間に上限が設定されている工程(洗浄後の成膜まで、露光後の現像までなど)では、時間超過したウェハは再洗浄や廃棄になるため、ストッカー内の滞留時間をMESが監視し、期限が近いロットを優先的に払い出します。
主要メーカーはダイフク・村田機械で、OHTと一体のAMHSソリューションとして供給されます。ファブの生産計画とWIP管理の思想がそのまま設備仕様に反映される領域です。