GDDR6(Graphics Double Data Rate 6)は、GPU(グラフィックス処理ユニット)および高性能アクセラレータ向けに最適化されたグラフィックスメモリ規格です。JEDECが2018年に標準化し、HBMと並んで主要なGPU搭載メモリとして普及しています。ピーク転送速度は最大16Gbps/pin(GDDR6X:最大21Gbps/pin)で、1デバイスあたり最大64GB/sの帯域幅を実現します。HBMとの比較では帯域幅は劣りますが、コスト・消費電力・基板実装の柔軟性で優位があります。
GDDR6はNRZ(2値)信号のまま1ピンあたりのデータレートを引き上げ、GDDR5の約2倍のデータを転送できます(PAM4〈4値パルス振幅変調〉を採用したのは派生規格のGDDR6Xです)。メモリダイ1個あたり容量は8〜16Gb(1〜2GB)で、GPUボード上に複数チップを搭載(例:NVIDIA RTX 4090は24GBのGDDR6X 12チップ構成)することでトータルの帯域幅・容量を確保します。GPUのメモリコントローラとボード上の配線で直接接続され、インターポーザを必要としないため、実装設計の自由度がHBM(インターポーザ必須)より高くなります。
GDDR6の主な採用例として、NVIDIA GeForce RTX 3060/4060シリーズ・AMD Radeon RX 7700 XT・Intel Arc A770などの民生GPU、各種推論向けエッジAIアクセラレータがあります。製造はSamsung Electronics・SK Hynix・Micronの3社が担い、10〜15nmクラスのDRAMプロセスで生産されます。HBM採用のハイエンドAIサーバー(H100・A100)との棲み分けが明確で、コストパフォーマンスが重視される用途ではGDDR6が引き続き主役です。HBMとの詳細比較はhbm-vs-gddr6の比較記事を参照してください。