LPDDR5(Low Power Double Data Rate 5)は、JEDECが2019年に標準化したモバイル向け低消費電力DRAMの第5世代規格です。スマートフォン・タブレット・薄型ノートPC向けに最適化されており、DDR5(サーバー・PC向け)とは異なる低消費電力アーキテクチャを採用しています。最大転送速度6400MT/s(LPDDR4Xの4266MT/sから約50%向上)・動作電圧1.05〜1.1Vを実現し、帯域幅と電力効率を同時に改善しています。
LPDDR5の主な技術的改良点として、Link ECC(リンク誤り訂正機能)の追加・WCK(Write Clock:書き込み専用クロック)の導入・Data Bus Inversion(DBI)の強化があります。WCKはデータ信号と同一周波数で動作するクロックで、高速転送時の信号品質を改善します。1チャネル(16bit幅x2)の構成が基本で、SoCの複数チャネル接続で総帯域幅をスケールアップします。DutyCycle Distortion低減回路の追加で高速動作の信頼性も向上しています。
LPDDR5Xは転送速度を最大8533MT/sに高めた拡張版で、Samsung Galaxy S23/S24シリーズ・Apple iPhone 15/16 Proシリーズ・Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3搭載スマートフォンなどに採用されています。製造はSK Hynix・Samsung・Micronが担い、10〜12nmクラスのDRAMプロセスで生産されます。AI機能を多用するスマートフォンSoC向けに大容量・高帯域メモリ需要が急拡大しており、今後もLPDDR5X・LPDDR6への移行が加速する見込みです。ddr5-vs-lpddr5の比較記事も参照してください。