最終更新 2026-10-19

DDR5とは(第5世代SDRAM)

DDR5 SDRAM

DDR5とは、JEDECが2020年に策定した第5世代のSDRAM規格です。DDR4比で最大2倍のデータ転送速度(DDR5-4800〜8400)と、動作電圧1.1Vによる消費電力削減を実現し、モジュール内にオンダイECCと電源管理IC(PMIC)を統合した点も大きな変更です。2023年からサーバー向けに本格普及し、AI・HPC市場の主要メモリ規格となっています。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. 紛らわしい言葉の切り分け
  4. よくある質問
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

DDR5はDDR4比最大2倍の転送速度(4800〜8400MT/s)・電圧1.1Vで省電力化した第5世代SDRAM。Intel Raptor Lake・AMD Ryzen 7000・サーバー向けSapphire Rapidsに対応。DDR4との互換性・レイテンシ・価格差・HBMとの使い分けをわかりやすく解説。

DDR5(Double Data Rate 5)は、JEDECが2020年に策定した第5世代のSDRAM規格です。DDR4比で最大2倍のデータ転送速度(DDR5-4800〜DDR5-8400、理論帯域幅38〜67GB/s/モジュール)と50%以上の消費電力削減(電源電圧1.1V)を実現します。2023年からIntel Sapphire Rapids・AMD EPYC Genoaサーバー向けに本格普及し、2025〜2026年のAIサーバー・HPC市場の主要メモリ規格となっています。

DDR5のAIサーバー向け主要規格として、RDIMM(Registered DIMM)とMCR DIMM(Multi-Channel RDIMM)があります。MCR DIMMはDDR5の物理チャネルを2分割して実効帯域幅を倍増させる技術で、1DIMMあたり最大134GB/s(DDR5-8000時)を実現します。MicronとSamsungが先行して量産しており、Intel Xeon 6・AMD EPYC Turinとの組み合わせでAIサーバーのデータスループットを大幅に向上させます。

DDR5の製造ではDRAMスケーリングの最先端プロセスが必要です。Samsung 1γ nm(3nm相当)・SK Hynix 1β nm・Micron 1γ nmの各社最先端ノードで生産され、EUV露光(1x〜1z世代から適用、1α以降で本格化)によるパターニングが採用されています。DDR5 DRAMダイの製造には1枚のウェハ当たりの使用EUVレイヤー数が増加しており、ASMLのEUV稼働率に直結する需要源です。

AIサーバー1台あたりのDDR5消費量は急増しています。NVIDIA DGX H100(8×H100 GPU)は1TB(64GB×16枚)のDDR5 RDIMMを搭載し、AIモデルのコンテキスト・中間データ保管に使用します。LLMの推論では大量のKVキャッシュをCPUメモリ(DDR5)に保存するアーキテクチャが普及しており、「HBMがGPU内計算用、DDR5がCPU側の大容量バッファ」という役割分担が定着しています。

DDR5市場は2024〜2026年にかけてDDR4からの移行が加速し、2026年にはDRAM出荷ビット数の50%超をDDR5が占める見通しです。価格はDDR4比でプレミアムが縮小しつつあり、DDR5の普及がSamsung・SK Hynix・Micronの売上単価を押し上げる構図となっています。DDR5製造装置(EUV露光・ALD High-k・CMP)への投資需要もDRAM設備投資増加の主要ドライバーです。

図解

DDR5の主な変更点(転送速度・電圧・オンダイECC・PMIC・サブチャネル)
サーバー向けから普及し、AI・HPCの主記憶になった。

紛らわしい言葉の切り分け

DDR5とLPDDR5。違いは用途と省電力性です。DDR5はPCやサーバー向けで、モジュール(DIMM)として増設できます。LPDDR5は低消費電力版で、スマートフォンや薄型ノートPCの基板に直接実装するため増設はできません。 比較記事 →

DDR4とDDR5。世代の違いで、DDR5は転送速度とモジュールの容量が上がり、電圧は1.2Vから1.1Vに下がりました。ソケットの形が違うため、互いに差し替えることはできません。 比較記事 →

関連するデータ・ツール

データHBM世代別スペック一覧表(HBM2E〜HBM4)データDRAM価格の推移と変動の要因計算・換算ツールメモリ帯域幅計算ツール(DDR・LPDDR・GDDR)

この用語を扱う職種

設計・デバイス開発メモリ設計エンジニア設計・デバイス開発SI/PIエンジニア(シグナル・パワーインテグリティ)事業・サプライチェーン半導体の標準化(SEMI・JEDEC)担当

よくある質問(FAQ)

DDR5とDDR4は互換性がありますか?
ありません。ノッチ(切り欠き)の位置が異なりソケット形状も違うため物理的に挿すことができず、電気的な仕様も異なります。DDR5を使うにはDDR5対応のマザーボードとCPUが必要です。
DDR5で新しく追加された機能は何ですか?
オンダイECC(DRAMチップ内部での誤り訂正)、モジュール上に電源管理IC(PMIC)を搭載する電源方式の変更、1モジュールを2つの独立した32bitサブチャネルに分ける構成、そしてリフレッシュ効率を高める同一バンクリフレッシュなどです。
DDR5とLPDDR5はどう違いますか?
DDR5はデスクトップPC・サーバー向けの標準規格でDIMMに搭載され増設が可能です。LPDDR5は低消費電力版でスマートフォンや薄型ノートPC向けに基板直付けされ、省電力と省スペースを優先するため増設できません。

デバイスの製造メーカー

Samsung Electronics(サムスン電子)韓国

世界最大のメモリメーカーであり、先端ロジックファウンドリでもあるIDM。DRAM・NANDフラッシュで市場をリ…

SK hynix(SKハイニックス)韓国

世界第2位のDRAMメーカー、第3位のNANDフラッシュメーカー。AI/HPC向けHBM(高帯域メモリ)で業界…

Micron Technology(マイクロン)米国

米国最大のメモリメーカー。DRAM、NANDフラッシュの両方を製造し、データセンター、自動車、産業用途に強み。

関連する装置カテゴリ

同じトピックの用語

メモリ半導体 のトピックで関連する用語です。

同じトピックの企業

アドバンテスト日本キオクシア(Kioxia)日本

比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. JEDEC「DDR5 SDRAM(JESD79-5)」(2026/10/07 確認)
  2. Micron Technology「DRAM components」(2026/10/07 確認)