DDR5はDDR4比最大2倍の転送速度(4800〜8400MT/s)・電圧1.1Vで省電力化した第5世代SDRAM。Intel Raptor Lake・AMD Ryzen 7000・サーバー向けSapphire Rapidsに対応。DDR4との互換性・レイテンシ・価格差・HBMとの使い分けをわかりやすく解説。
DDR5(Double Data Rate 5)は、JEDECが2020年に策定した第5世代のSDRAM規格です。DDR4比で最大2倍のデータ転送速度(DDR5-4800〜DDR5-8400、理論帯域幅38〜67GB/s/モジュール)と50%以上の消費電力削減(電源電圧1.1V)を実現します。2023年からIntel Sapphire Rapids・AMD EPYC Genoaサーバー向けに本格普及し、2025〜2026年のAIサーバー・HPC市場の主要メモリ規格となっています。
DDR5のAIサーバー向け主要規格として、RDIMM(Registered DIMM)とMCR DIMM(Multi-Channel RDIMM)があります。MCR DIMMはDDR5の物理チャネルを2分割して実効帯域幅を倍増させる技術で、1DIMMあたり最大134GB/s(DDR5-8000時)を実現します。MicronとSamsungが先行して量産しており、Intel Xeon 6・AMD EPYC Turinとの組み合わせでAIサーバーのデータスループットを大幅に向上させます。
DDR5の製造ではDRAMスケーリングの最先端プロセスが必要です。Samsung 1γ nm(3nm相当)・SK Hynix 1β nm・Micron 1γ nmの各社最先端ノードで生産され、EUV露光(1x〜1z世代から適用、1α以降で本格化)によるパターニングが採用されています。DDR5 DRAMダイの製造には1枚のウェハ当たりの使用EUVレイヤー数が増加しており、ASMLのEUV稼働率に直結する需要源です。
AIサーバー1台あたりのDDR5消費量は急増しています。NVIDIA DGX H100(8×H100 GPU)は1TB(64GB×16枚)のDDR5 RDIMMを搭載し、AIモデルのコンテキスト・中間データ保管に使用します。LLMの推論では大量のKVキャッシュをCPUメモリ(DDR5)に保存するアーキテクチャが普及しており、「HBMがGPU内計算用、DDR5がCPU側の大容量バッファ」という役割分担が定着しています。
DDR5市場は2024〜2026年にかけてDDR4からの移行が加速し、2026年にはDRAM出荷ビット数の50%超をDDR5が占める見通しです。価格はDDR4比でプレミアムが縮小しつつあり、DDR5の普及がSamsung・SK Hynix・Micronの売上単価を押し上げる構図となっています。DDR5製造装置(EUV露光・ALD High-k・CMP)への投資需要もDRAM設備投資増加の主要ドライバーです。