メガソニック洗浄とは、0.8〜3MHz程度の高周波音波を洗浄液に印加し、その音響エネルギーでウェハ表面のパーティクルを剥離させる物理洗浄手法です。数十kHzの超音波洗浄が激しいキャビテーション(気泡の生成と崩壊)で洗浄するのに対し、メガソニックは周波数が高いぶんキャビテーションが穏やかで、音響流(アコースティックストリーミング)が主役になります。
パーティクルは、粒径が小さくなるほど付着力(ファンデルワールス力)に対して除去に必要な力の比が不利になります。薬液の化学的な作用だけでは数十nmの粒子を剥がしきれないため、音響エネルギーによる物理的な補助が必要になります。メガソニックは、表面近傍に形成される音響境界層を薄くし、粒子に働く流体力を高めることで除去効率を上げます。
最大の課題はパターンダメージです。キャビテーション気泡が微細構造の近傍で崩壊すると、局所的に大きな衝撃圧が生じ、細いラインやピラーを倒壊・破損させます。周波数を上げるほどキャビテーションは弱まりますが、除去力も下がるため、洗浄力とダメージのトレードオフをどう抜けるかがこの技術の本質的な課題です。
これに対する各社の解が、音場の時間的・空間的な制御です。ACM ResearchのSAPS(空間交互位相シフト)はトランスデューサの位相を交互に変えて音場を空間的に均一化し、TEBOは音波を短いパルスで与えて気泡が成長する前に止めることで、高アスペクト比パターンでもダメージを抑えます。液中の溶存ガス濃度を下げてキャビテーション自体を抑制する運用も併用されます。
適用箇所は、露光前・成膜前のパーティクル除去、ポストCMP洗浄、バッチ槽での一括洗浄など広範です。枚葉洗浄装置ではメガソニックノズルとして、バッチ装置では槽の底面や側面にトランスデューサとして組み込まれます。