枚葉式洗浄(Single-Wafer Cleaning)とは、ウェハを1枚ずつ個別に処理する洗浄方式です。複数枚(25〜50枚)を一括処理するバッチ式洗浄と異なり、1枚ごとの精密なプロセス制御・クロスコンタミネーション防止・洗浄液の新鮮度維持が可能です。先端ロジックノード(5nm以下)・EUVリソグラフィ前後・高精度プロセス管理が必要な工程で標準採用されており、SCREENセミコンダクターソリューションズが世界シェア首位(50%超)を誇る分野です。
枚葉式とバッチ式洗浄の選択基準を整理します。枚葉式の優位性:(1)ウェハ間の汚染持ち込み・持ち出しが最小化され超低金属汚染を実現、(2)洗浄液の使用量を最小化しランニングコスト低減、(3)プロセスパラメータ(液温・流量・回転数)の枚葉単位での最適化が可能、(4)3次元構造(FinFET・GAA)の微細パターン内部洗浄に適した低表面張力プロセスへの対応が容易。バッチ式の優位性:スループット(時間当たり処理枚数)が高く成熟ノードで生産コストを低減。
枚葉式洗浄装置の代表製品はSCREENのEveresta(SEシリーズ)・Tokyo Electron(Cellesta)・Lam Research(InVia)です。最新の枚葉洗浄機は1台で複数の洗浄プロセス(SPM→SC1→SC2→DHF→UPW→IPA乾燥)をシーケンシャルに処理できるマルチチャンバー構成を持ちます。SCREENは日本・台湾・韓国・米国の主要ファブにグローバル展開し、TSMC・Samsung・Intelなど主要顧客を持ちます。
先端ノードでの枚葉式洗浄の技術課題はパターン内部の均一洗浄と乾燥時のパターン倒れ防止です。GAAナノシートトランジスタの内部空間(ナノシート間のギャップ)への洗浄液浸透と残渣除去、乾燥時の表面張力によるナノスケール構造の変形防止が主要研究テーマです。超臨界CO₂乾燥(Supercritical Drying)・凍結乾燥・Ar置換乾燥などの革新的乾燥技術が枚葉式洗浄機への搭載に向けて開発が進んでいます。
枚葉式洗浄装置市場は先端ノードへの移行に伴い継続的に成長しています。SCREENセミコンダクターソリューションズは洗浄装置売上の約7割をシングルウェハ機が占め、売上高(2000億円超)の柱となっています。TSMC・Samsung・Intel・SKHynixが先端ファブを新設・拡張するたびに枚葉洗浄機の大量調達が発生します。洗浄工程はウェハ製造プロセスの30〜50%のステップを占め、装置の信頼性・スループット・コストオブオーナーシップ(CoO)が選定の決め手となっています。