RISC-V(リスクファイブ)は、カリフォルニア大学バークレー校が2010年に開発し、無償公開したオープンソースの命令セットアーキテクチャ(ISA)です。ARMやx86とは異なり、特許料・ライセンス料なしに誰でも自由にプロセッサを設計・製造できる点が最大の特徴です。RISC(Reduced Instruction Set Computer)の原則に基づいたシンプルかつモジュール式の設計で、IoT・組み込み・サーバー・AIアクセラレータまで幅広い用途に対応します。
RISC-Vの基本整数命令セット(RV32I/RV64I)はわずか47命令で構成され、用途に応じて乗算・浮動小数点・ベクタ演算などの拡張モジュールを選択的に追加できるモジュール構成を採用しています。この柔軟性により、マイクロコントローラ(RV32I)から高性能サーバープロセッサ(RV64GC)、機械学習アクセラレータ(RVV拡張)まで一つのISAでカバーできます。命令エンコードの効率も高く、コードサイズの削減に有利です。
半導体産業でのRISC-V採用は急速に拡大しています。SiFive・Andes Technology・Alibaba T-Headなどが商用RISC-Vコアを提供し、Google・Samsung・NVIDIAも内部設計にRISC-Vコアを活用しています。中国の半導体企業はARMライセンスの地政学的リスク回避としてRISC-Vへの移行を加速しており、2025年時点で100億個以上のRISC-VコアがSoCに搭載されています。RISC-Vコアを含むチップはTSMC・Samsungの先端ファウンドリで製造されます。ARMとの比較はrisc-v-vs-armの比較記事を参照してください。
RISC-Vエコシステムの成熟も進んでいます。RISC-V Internationalが仕様を管理し、Linux・FreeRTOSなどのOSサポート、GCC・LLVMなどのコンパイラ対応も充実しています。日本でもNECや産業技術総合研究所がRISC-Vベースの研究開発を進めており、次世代プロセッサの重要候補として注目されています。FPGAプロトタイプからASIC量産まで対応できる柔軟性が、設計スタートアップ・研究機関に広く選ばれる理由です。