IPコア(半導体IP)とは

Semiconductor IP Core

最終更新:2026-10-07・ロジックプロセス|用語集のExcel・PDF版をダウンロード

定義・解説

IPコア(Intellectual Property Core:半導体IP)とは、再利用可能な設計済み回路ブロックの総称です。CPU・GPU・DSP・メモリコントローラ・インターフェース(USB・PCIe・DDR)など特定機能の回路をRTLまたはGDSII形式で提供し、ファブレス企業がSoC設計に組み込みます。ARM(CPU IP)・Synopsys(I/O・メモリIP)・Cadence(検証IP)が世界市場を主導しており、Appleの全iPhoneチップはARMアーキテクチャIPをベースに設計されています。

IPコアはソフトIP・ファームIP・ハードIPの3種類に分類されます。ソフトIPはRTLソースコードで提供され最も柔軟に設計に統合できます。ファームIPは論理合成後のネットリスト形式で提供されます。ハードIPは特定プロセスに最適化されたGDSIIレイアウトで提供され、最高の性能・面積効率を発揮します。先端ノード向けPHY(物理インターフェース)IPは1ライセンス数十億円にも達する高価値資産です。

RISC-Vの台頭がIPコア市場を変えています。RISC-V(リスクファイブ)はオープンソースの命令セットアーキテクチャ(ISA)で、ARMのようなライセンス料なしにカスタムCPUコアを設計できます。SiFive・Andes Technology・T-Headが主要RISC-V IPサプライヤーで、中国の国産チップ設計でも広く採用されています。AI推論アクセラレータにはRISC-V制御コアが多数組み込まれており、RISC-V IPの需要は年率30%以上で成長中です。

先端パッケージング時代のIPコアはUCIe(ユニバーサルチップレット接続規格)対応が必要になっています。チップレット設計では複数のダイにまたがってIPを分散配置するため、ダイ間インターフェース(Die-to-Die I/O)のIPがCoWoSやFoveros設計の重要要素となっています。Synopsys・Cadence・Arterisなどがチップレット向けNetwork-on-Chip(NoC)IPを提供し、設計の複雑性管理を支援しています。

IPコアのビジネスモデルはロイヤリティ収入が中心で、設計勝訴(Design win)のたびに出荷チップ数×単価のロイヤリティが発生します。ARMはスマートフォン・PC・AIサーバー向けCPU IPのロイヤリティで年間30億ドル超の売上を持ちます。IPコアの品質・信頼性・先端PDK対応スピードが採用を左右するため、EDAとの緊密な連携・TSMC先端プロセスへの早期対応がIPベンダーの競争力の核心です。

図解

SoCに組み込まれるIPコアの種類(CPU/GPU・インターフェース・メモリ・アナログ)
すべてを自社で設計せず、IPを組み合わせることで開発期間を短くする。

この用語を扱う職種

設計・デバイス開発デジタル回路設計エンジニア設計・デバイス開発検証エンジニア(論理検証)設計・デバイス開発SoCアーキテクト事業・サプライチェーン半導体の知財(特許)エンジニア

設備の製造メーカー

Synopsys米国

世界最大のEDA(電子設計自動化)ソフトウェア企業。論理合成・配置配線・物理検証・TCAD・IPライセンスを提…

Cadence Design Systems米国

EDAとIPの世界2大メーカーの一つ。アナログ・カスタム・デジタルIC設計、PCB・システム解析、AI駆動のJ…

Intel米国

世界最大のCPUメーカー。従来はIDMとして自社プロセスでCPUを製造してきたが、Intel Foundry …

TSMC(台湾積体電路製造)台湾

世界最大の半導体ファウンドリ。3nm、5nm、7nmなど最先端プロセスノードで業界をリード。Apple、NVI…

デバイスの製造メーカー

TSMC(台湾積体電路製造)台湾

世界最大の半導体ファウンドリ。3nm、5nm、7nmなど最先端プロセスノードで業界をリード。Apple、NVI…

Samsung Electronics(サムスン電子)韓国

世界最大のメモリメーカーであり、先端ロジックファウンドリでもあるIDM。DRAM・NANDフラッシュで市場をリ…

Intel米国

世界最大のCPUメーカー。従来はIDMとして自社プロセスでCPUを製造してきたが、Intel Foundry …

関連カテゴリ

同じトピックの用語

設計・アーキテクチャ のトピックで関連する用語です。

同じトピックの企業

Siemens EDA(旧Mentor Graphics)米国NVIDIA米国Texas Instruments(TI)米国Analog Devices(ADI)米国

比較・違いを学ぶ

ASICとFPGAの違い(性能・コスト・用途の比較)
ASICは特定の処理に最適化した固定回路を半導体製造で作るチップで、量産時のコスト・性能・消費電力すべてで最高効率を発揮します。FPGAはプログラム可能なロジッ…
→
RISC-VとARMの違い(ライセンス・エコシステム・用途の比較)
ARMはスマートフォン・組み込み機器で圧倒的シェアを持つ命令セットアーキテクチャ(ISA)で、ARM Holdings社がライセンスを管理し利用にはロイヤリティ…
→
チップレットとモノリシックの違い(設計アーキテクチャ比較)
モノリシック設計は全機能を1枚のダイに集積する従来手法で、インターコネクト遅延が最小限で設計がシンプルです。チップレット設計は機能ブロックを複数の小ダイ(チップ…
→
CPUとGPUの違い(アーキテクチャ・用途・製造プロセス比較)
CPU(Central Processing Unit)は少数の高性能コアで複雑な逐次処理を担う「汎用演算の司令塔」、GPU(Graphics Processi…
→
GPUとNPUの違い(AI推論・エッジAI比較)
GPU(Graphics Processing Unit)はデータセンターの大規模AI学習・推論に強い汎用並列プロセッサで、NPU(Neural Process…
→
GPUとASICの違い(AI推論チップ比較)
GPU(Graphics Processing Unit)は汎用性が高くあらゆるAIモデルに対応できる一方、ASIC(Application-Specific …
→
← 用語集に戻る用語集をExcel・PDFで使う →