シリコンの光吸収係数・侵入長 計算ツール
要点
シリコンは間接遷移型で、光の吸収の強さが波長によって何桁も変わります。紫外光は表面から約10nm、青色は約0.4µm、赤色は約3µm、850nm では約20µm まで届き、約1100nm より長い波長ではほぼ透明になります。エキシマレーザーアニールが表面だけを溶かせるのも、ステルスダイシングが内部を加工できるのもこの性質によります。
入力
侵入長(1/e の深さ)1/α1.28 µm
吸収係数 α7,800cm⁻¹
入射光の90%が吸収される深さ2.95 µm
深さ 10 µm までに吸収される割合64.97%
厚さ 10 µm を透過する割合0.027%
室温・低ドープの結晶シリコンの値です。高温ではバンドギャップが縮んで吸収端が長波長側に移り、高濃度ドープ層では自由キャリア吸収が加わります。アモルファスシリコンは可視域で結晶より吸収が強くなります。
波長と侵入長
よく使うレーザー・光源の侵入長
| 光源 | 波長 | 吸収係数 | 侵入長 |
|---|---|---|---|
| KrF エキシマ(レーザーアニール) | 248 nm | 1.84×10⁶ cm⁻¹ | 5.43 nm |
| XeCl エキシマ(レーザーアニール・LTPS) | 308 nm | 1.59×10⁶ cm⁻¹ | 6.27 nm |
| 青色レーザー | 450 nm | 25,500 cm⁻¹ | 392 nm |
| グリーンレーザー(Nd:YAG 2倍波) | 532 nm | 7,800 cm⁻¹ | 1.28 µm |
| 赤色 He-Ne(膜厚計・アライメント) | 633 nm | 3,210 cm⁻¹ | 3.12 µm |
| 半導体レーザー(808nm) | 808 nm | 789 cm⁻¹ | 12.7 µm |
| 近赤外(ステルスダイシング等) | 1064 nm | 10.6 cm⁻¹ | 944 µm |
1064nm はシリコンのバンドギャップより長波長で、低強度ではほとんど吸収されません。ステルスダイシングは、この透過する光を内部に集光し、非線形吸収で内部だけを改質する技術です。
波長で吸収される深さが変わる
シリコンは間接遷移型の半導体で、光を吸収する強さが波長によって何桁も変わります。紫外光は表面から10nm程度で吸収され、青色は約0.4µm、赤色は約3µm、近赤外の850nmでは約20µm まで届きます。バンドギャップに相当する約1100nmより長い波長では、シリコンはほぼ透明になります。
この性質はさまざまな場面で使い分けられます。エキシマレーザーアニールは表面の極薄層だけを溶かして活性化するために紫外光を使い、イメージセンサはカラーフィルタで分けた色ごとに受光部の深さが効いてきます。近赤外に感度を持たせたい測距センサでは、受光層を厚くするか、表面に微細構造を作って光路長を稼ぎます。