GLOSSARY

ドライ真空ポンプとは

Dry Vacuum Pump
最終更新:2026-08-12真空ポンプ排ガス処理装置(アバトメント)

ドライ真空ポンプとは?

ドライ真空ポンプとは、排気室に潤滑油を使わず大気圧から数Paまでチャンバーを排気する一次側ポンプです。油蒸気の逆流によるウェハ汚染を原理的に排除できるため半導体装置の標準となり、多段ルーツ式・スクリュー式が主流です。堆積性ガスの析出を防ぐため本体加熱とN₂パージを併用し、排気は除害装置へ直結されます。

定義・解説

ドライ真空ポンプは、真空を作る排気経路の一次側(粗引き)を担い、大気圧から数Pa程度までチャンバーを排気する装置部品です。「ドライ」とは排気室内に潤滑油を使わないという意味で、油回転ポンプ(ロータリーポンプ)で問題となる油蒸気の逆流によるウェハ汚染を原理的に排除できるため、半導体製造装置ではドライポンプが標準となっています。

主流の方式は多段ルーツ式とスクリュー式です。複数段のロータを非接触で回転させて気体を段階的に圧縮・排出する構造で、接触部が無いためパーティクル発生が少なく、連続運転に耐えます。プロセスの排気だけでなく、ターボ分子ポンプの背圧を維持するバックポンプとしても不可欠です。

半導体プロセス向けドライポンプの最大の課題は、堆積性・腐食性ガスへの耐性です。CVDの未反応前駆体やエッチング生成物がポンプ内部で固体として析出すると、ロータのロック(固着)や排気能力の低下を招きます。これを防ぐため、ポンプ本体をヒーターで加熱して析出を抑え、N₂パージガスを導入して生成物を希釈・搬送する運用が標準です。

運用面では、電力消費とアップタイムが重視されます。ドライポンプはファブ内で常時稼働する台数が非常に多く、ファブ全体の消費電力に占める割合が無視できません。近年はインバータ制御による可変速運転で、待機時の消費電力を大幅に下げる省エネ機種が主流になっています。排気は下流の除害装置(スクラバー)へ接続され、ポンプと排ガス処理は一体で設計されます。

主要メーカーは、Edwards(英)・荏原製作所・樫山工業・Pfeiffer Vacuum(独)・ULVACなどです。装置1台に複数のポンプが搭載されるため設置台数が膨大で、保守・オーバーホールを含めたサービス事業が大きな収益源となっている点も、この市場の特徴です。

関連するデータ・ツール

計算ツール半導体エンジニアのための単位換算ツール計算ツール圧力・真空度の単位換算ツール(Torr・Pa・mbar)

よくある質問(FAQ)

ドライポンプと油回転ポンプの違いは何ですか?
排気室に潤滑油を使うかどうかです。油回転ポンプは油蒸気がチャンバー側へ逆流してウェハを汚染するリスクがあるため、半導体プロセスでは油を使わないドライポンプが標準になっています。多段ルーツ式やスクリュー式が代表的な構造です。
ドライポンプでN₂パージを流すのはなぜですか?
CVDの未反応前駆体やエッチング生成物がポンプ内部で固体として析出し、ロータの固着や排気能力低下を招くためです。N₂で希釈・搬送し、本体をヒーターで加熱して析出温度域を避けることで、堆積性プロセスでも安定稼働させます。
ドライポンプはファブの電力消費にどう影響しますか?
常時稼働する台数が非常に多く、ファブ全体の消費電力に占める割合が無視できません。近年はインバータ制御による可変速運転で、プロセスを行っていない待機時の消費電力を大きく下げる省エネ機種が主流になっています。

設備の製造メーカー

Edwards Vacuum(Atlas Copco傘下)GB

半導体ファブ向け真空ポンプ・排気処理(アベートメント)システムの世界大手。ドライポンプ・ブースターポンプ・PF…

企業詳細を見る →
荏原製作所日本

CMP(化学機械研磨)装置と半導体製造用真空ポンプ・除害装置の大手。ポンプ・精密機械・環境事業を軸に、半導体製…

企業詳細を見る →
樫山工業日本

ドライ真空ポンプの専業メーカー。半導体・FPD製造装置向けに、堆積性・腐食性ガスに対応した多段ルーツ式ドライポ…

企業詳細を見る →
Pfeiffer Vacuumドイツ

半導体製造装置向け真空ポンプ・計測機器の世界的リーダー。ターボ分子ポンプ・スクロールポンプ・ドライポンプなど幅…

企業詳細を見る →
ULVAC(アルバック)日本

真空技術を核に、スパッタ・CVD・蒸着・エッチング・測定装置を手がける日本の総合真空機器メーカー。半導体に加え…

企業詳細を見る →

関連カテゴリ

真空ポンプ
排ガス処理装置(アバトメント)

関連用語

ターボ分子ポンプ(TMP)とは →クライオポンプとは →真空計とは →除害装置(スクラバー)とは →ゲートバルブ/スリットバルブとは →ロードロック室とは →

同じトピックの用語

真空・ガス/薬液供給サブシステム のトピックで関連する用語です。

マスフローコントローラ(MFC)とは →ガスボックス(ガスパネル)とは →ダイヤフラムバルブとは →ガス精製器・ガスフィルタとは →薬液供給システム(CDS)とは →

同じトピックの企業

VAT GroupCHMKS Instruments米国堀場製作所日本フジキン(Fujikin)日本CKD日本キッツエスシーティー(KITZ SCT)日本

比較・違いを学ぶ

ドライ真空ポンプとターボ分子ポンプの違い
半導体製造装置の排気系は、大気圧から超高真空まで10桁以上の圧力範囲をカバーしなければなりません。単一のポンプでこれを賄うことはできないため、粗引きを担うドライ
← 用語集に戻る