最終更新 2026-10-07

ドライ真空ポンプとは

Dry Vacuum Pump

ドライ真空ポンプとは、排気室に潤滑油を使わず大気圧から数Paまでチャンバーを排気する一次側ポンプです。油蒸気の逆流によるウェハ汚染を原理的に排除できるため半導体装置の標準となり、多段ルーツ式・スクリュー式が主流です。堆積性ガスの析出を防ぐため本体加熱とN₂パージを併用し、排気は除害装置へ直結されます。

目次9項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. 紛らわしい言葉の切り分け
  4. よくある質問
  5. 設備の製造メーカー
  6. 関連する製品
  7. 関連用語
  8. 比較・違いを学ぶ
  9. 出典・参考資料

定義・解説

ドライ真空ポンプは、真空を作る排気経路の一次側(粗引き)を担い、大気圧から数Pa程度までチャンバーを排気する装置部品です。「ドライ」とは排気室内に潤滑油を使わないという意味で、油回転ポンプ(ロータリーポンプ)で問題となる油蒸気の逆流によるウェハ汚染を原理的に排除できるため、半導体製造装置ではドライポンプが標準となっています。

主流の方式は多段ルーツ式とスクリュー式です。複数段のロータを非接触で回転させて気体を段階的に圧縮・排出する構造で、接触部が無いためパーティクル発生が少なく、連続運転に耐えます。プロセスの排気だけでなく、ターボ分子ポンプの背圧を維持するバックポンプとしても不可欠です。

半導体プロセス向けドライポンプの最大の課題は、堆積性・腐食性ガスへの耐性です。CVDの未反応前駆体やエッチング生成物がポンプ内部で固体として析出すると、ロータのロック(固着)や排気能力の低下を招きます。これを防ぐため、ポンプ本体をヒーターで加熱して析出を抑え、N₂パージガスを導入して生成物を希釈・搬送する運用が標準です。

運用面では、電力消費とアップタイムが重視されます。ドライポンプはファブ内で常時稼働する台数が非常に多く、ファブ全体の消費電力に占める割合が無視できません。近年はインバータ制御による可変速運転で、待機時の消費電力を大幅に下げる省エネ機種が主流になっています。排気は下流の除害装置(スクラバー)へ接続され、ポンプと排ガス処理は一体で設計されます。

主要メーカーは、Edwards(英)・荏原製作所・樫山工業・Pfeiffer Vacuum(独)・ULVACなどです。装置1台に複数のポンプが搭載されるため設置台数が膨大で、保守・オーバーホールを含めたサービス事業が大きな収益源となっている点も、この市場の特徴です。

図解

ドライ真空ポンプの特徴(無油・方式・加熱パージ・除害との接続)
高真空が必要な装置では、ターボ分子ポンプの後ろにつなぐ。

紛らわしい言葉の切り分け

ドライポンプとターボ分子ポンプ。競合ではなく役割分担の関係です。ドライポンプは大気圧から数Pa程度までを引く一次側のポンプで、ターボ分子ポンプはその先の高真空を作る二次側のポンプです。ターボ分子ポンプは単体では動かせず、必ずドライポンプと直列につなぎます。 比較記事 →

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この用語を扱う職種

装置・材料メーカー真空技術エンジニア

よくある質問(FAQ)

ドライポンプと油回転ポンプの違いは何ですか?
排気室に潤滑油を使うかどうかです。油回転ポンプは油蒸気がチャンバー側へ逆流してウェハを汚染するリスクがあるため、半導体プロセスでは油を使わないドライポンプが標準になっています。多段ルーツ式やスクリュー式が代表的な構造です。
ドライポンプでN₂パージを流すのはなぜですか?
CVDの未反応前駆体やエッチング生成物がポンプ内部で固体として析出し、ロータの固着や排気能力低下を招くためです。N₂で希釈・搬送し、本体をヒーターで加熱して析出温度域を避けることで、堆積性プロセスでも安定稼働させます。
ドライポンプはファブの電力消費にどう影響しますか?
常時稼働する台数が非常に多く、ファブ全体の消費電力に占める割合が無視できません。近年はインバータ制御による可変速運転で、プロセスを行っていない待機時の消費電力を大きく下げる省エネ機種が主流になっています。

設備の製造メーカー

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

iXH Mk2Edwards Vacuum(Atlas Copco傘下)・真空ポンプ
EV-M型荏原製作所・真空ポンプ
NeoDry G シリーズ樫山工業・真空ポンプ
HiPace® ターボ分子ポンプPfeiffer Vacuum・真空ポンプ
ATH シリーズPfeiffer Vacuum・真空ポンプ

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. 荏原製作所「EV-M型 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  2. 樫山工業「NeoDry G シリーズ 製品ページ」(2026/10/07 確認)