ゲートバルブ(スリットバルブ)は、真空チャンバー同士やチャンバーと排気系の間を仕切り、真空を保ったまま開閉する真空バルブです。マルチチャンバー型のクラスターツールでは、ロードロック・トランスファーチャンバー・各プロセスチャンバーの境界すべてにこのバルブが配置され、装置の基本構造そのものを規定します。
スリットバルブは、ウェハがロボットアームで通過できる細長い開口部(スリット)を開閉する形式で、閉じたときはOリングで真空シールします。開閉は1ウェハごとに発生するため、稼働台数の多いファブでは年間数十万回の開閉に耐える耐久性が求められます。排気系との間には、コンダクタンスを調整して圧力を制御するスロットルバルブ(圧力制御バルブ)が置かれます。
設計上の要点は、①開閉時にパーティクルを発生させないこと、②シール部の摺動を最小化すること、③開閉が高速であることの3つです。多くのバルブは、閉方向へ動く際にまず直線的に移動し、最後にシール面へ押し付ける二段動作を採用して、Oリングの擦れによる発塵と摩耗を抑えています。
腐食性・堆積性のプロセス環境では、バルブ内部にも生成物が堆積します。堆積物の剥離はパーティクル源になり、シール面への付着はリークにつながるため、加熱やパージ、耐食コーティングによる対策が採られます。バルブの故障は装置全体の停止に直結するため、消耗部品(Oリング・ベローズ)の交換周期がPM計画に組み込まれます。
この分野はスイスのVAT Groupが世界的に圧倒的なシェアを持ち、日本ではキッツSCT・フジキンなどが真空・ガスラインのバルブを供給しています。装置メーカーにとっては、バルブの応答速度と寿命がスループットとアップタイムを左右する重要な調達部品です。