除害装置(スクラバー、アベートメント)は、製造装置から排出されるプロセスガスを無害化してから工場排気へ流すファブインフラ設備です。半導体プロセスで使うシラン(SiH₄)・アルシン(AsH₃)・塩素系ガス・フッ素系ガスは、可燃性・毒性・強い温室効果を持つため、そのまま大気へ放出することは法規制上も環境上も許されません。
処理方式は大きく4種類あります。①燃焼式(バーナーで分解)、②プラズマ式(プラズマで解離)、③加熱触媒式、④湿式(水やアルカリ液に吸収)で、多くの装置ではこれらを組み合わせた複合型が使われます。たとえばシランは燃焼で酸化してSiO₂の粉体にし、その粉体を湿式で洗い落とすという二段構成が一般的です。
近年最も注目されるのがPFC(パーフルオロカーボン)対策です。エッチングやチャンバークリーニングに使うCF₄・C₄F₈・NF₃・SF₆は、CO₂の数千〜2万倍以上の温室効果係数を持ち、大気寿命も長いため、半導体産業のスコープ1排出の主要因になっています。高温燃焼やプラズマ分解による高い分解効率(DRE)と、代替ガス(NF₃のリモートプラズマ化など)の導入が並行して進められています。
運用上の課題は、燃焼で生じる固形粉体(SiO₂など)の堆積による配管閉塞と、湿式部のスケール付着です。真空ポンプの排気側に直結するため、除害装置の閉塞はポンプの背圧上昇を招き、最終的にはプロセスチャンバーの圧力制御に影響します。ドライポンプと除害装置は、しばしば一体のユニットとして設計・保守されます。
供給はEdwards・カンケンテクノ・荏原製作所などが中心です。ファブの環境負荷(GHG排出)を直接左右する設備であり、大手デバイスメーカーの脱炭素目標が高効率除害装置への更新投資を後押ししています。