GLOSSARY

クライオポンプとは

Cryopump
最終更新:2026-08-12真空ポンプ成膜装置

クライオポンプとは?

クライオポンプとは、10〜20Kに冷却したパネルに気体を凝縮・吸着させて捕捉する溜め込み式の真空ポンプです。可動部が排気経路に露出せず振動も少ないため、PVD(スパッタ)やイオン注入装置で使われます。水蒸気の排気速度が突出して大きい一方、飽和前に昇温して気体を放出する「再生」が定期的に必要です。

定義・解説

クライオポンプは、極低温に冷却した表面に気体分子を凝縮・吸着させて排気する「溜め込み式」の真空ポンプです。気体を外部へ押し出すターボ分子ポンプやドライポンプと異なり、ポンプ内部に気体を捕捉して真空を作るため、可動部が排気経路に露出せず、極めてクリーンで振動の少ない高真空が得られます。

構造は、ヘリウム冷凍機(GM冷凍機)で10〜20Kに冷却される第2ステージのクライオパネルと、80K前後の第1ステージのラジエーションシールドから成ります。水蒸気は80Kで、窒素・酸素・アルゴンは10〜20Kで凝縮し、水素・ヘリウム・ネオンは凝縮しないため活性炭などの吸着剤で捕捉します。特に水蒸気の排気速度が非常に大きいことが、他方式に対する明確な優位点です。

半導体分野での代表的な用途はPVD(スパッタ)装置とイオン注入装置です。大量のArを扱いながら高真空を維持する必要があり、油や潤滑剤による汚染を嫌う用途にクライオポンプが適合します。振動が少ないため、精密なステージ制御を要する装置とも相性が良好です。

溜め込み式であるがゆえに、捕捉した気体が飽和する前に定期的な「再生(リジェネレーション)」が必要です。パネルを昇温して気体を放出し、粗引きポンプで排出したうえで再び冷却するという工程で、この間その排気系は使えません。運用ではプロセスガス量から再生周期を見積もり、生産計画に織り込みます。可燃性ガスを溜め込むリスクがあるため、対象ガスの選定と安全設計も重要です。

供給はSumitomo(住友重機械)系・Brooks/Edwards系のメーカーが中心で、GM冷凍機の技術が競争力の核となります。装置の用途に応じて、ターボ分子ポンプとクライオポンプが排他的に、あるいは併用で選定されます。

関連するデータ・ツール

計算ツール圧力・真空度の単位換算ツール(Torr・Pa・mbar)

よくある質問(FAQ)

クライオポンプの「再生」とは何ですか?
溜め込んだ気体を放出して排気能力を回復させる作業です。クライオポンプは気体を外へ押し出さず内部に凝縮・吸着させるため、飽和する前にパネルを昇温して気体を放出し、粗引きポンプで排出したうえで再冷却します。この間その排気系は使えません。
ターボ分子ポンプとクライオポンプはどう使い分けますか?
連続的に大量のガスを流すプロセスにはTMP、水蒸気の排気速度が重要で振動を嫌う用途にはクライオポンプが向きます。PVD(スパッタ)やイオン注入装置ではクライオポンプが多く使われ、エッチングなど連続排気が必要な装置ではTMPが選ばれます。

設備の製造メーカー

Edwards Vacuum(Atlas Copco傘下)GB

半導体ファブ向け真空ポンプ・排気処理(アベートメント)システムの世界大手。ドライポンプ・ブースターポンプ・PF…

企業詳細を見る →
ULVAC(アルバック)日本

真空技術を核に、スパッタ・CVD・蒸着・エッチング・測定装置を手がける日本の総合真空機器メーカー。半導体に加え…

企業詳細を見る →
住友重機械イオンテクノロジー日本

住友重機械工業グループのイオン注入装置専業メーカー。半導体前工程のドーパント注入から、太陽電池・パワー半導体向…

企業詳細を見る →
Pfeiffer Vacuumドイツ

半導体製造装置向け真空ポンプ・計測機器の世界的リーダー。ターボ分子ポンプ・スクロールポンプ・ドライポンプなど幅…

企業詳細を見る →

関連カテゴリ

真空ポンプ
成膜装置

関連用語

ターボ分子ポンプ(TMP)とは →ドライ真空ポンプとは →スパッタリングとは →PVDとは →イオン注入とは →真空計とは →

同じトピックの用語

真空・ガス/薬液供給サブシステム のトピックで関連する用語です。

ゲートバルブ/スリットバルブとは →ロードロック室とは →マスフローコントローラ(MFC)とは →ガスボックス(ガスパネル)とは →ダイヤフラムバルブとは →ガス精製器・ガスフィルタとは →薬液供給システム(CDS)とは →除害装置(スクラバー)とは →

同じトピックの企業

荏原製作所日本樫山工業日本VAT GroupCHMKS Instruments米国堀場製作所日本フジキン(Fujikin)日本

比較・違いを学ぶ

ドライ真空ポンプとターボ分子ポンプの違い
半導体製造装置の排気系は、大気圧から超高真空まで10桁以上の圧力範囲をカバーしなければなりません。単一のポンプでこれを賄うことはできないため、粗引きを担うドライ
← 用語集に戻る