クライオポンプは、極低温に冷却した表面に気体分子を凝縮・吸着させて排気する「溜め込み式」の真空ポンプです。気体を外部へ押し出すターボ分子ポンプやドライポンプと異なり、ポンプ内部に気体を捕捉して真空を作るため、可動部が排気経路に露出せず、極めてクリーンで振動の少ない高真空が得られます。
構造は、ヘリウム冷凍機(GM冷凍機)で10〜20Kに冷却される第2ステージのクライオパネルと、80K前後の第1ステージのラジエーションシールドから成ります。水蒸気は80Kで、窒素・酸素・アルゴンは10〜20Kで凝縮し、水素・ヘリウム・ネオンは凝縮しないため活性炭などの吸着剤で捕捉します。特に水蒸気の排気速度が非常に大きいことが、他方式に対する明確な優位点です。
半導体分野での代表的な用途はPVD(スパッタ)装置とイオン注入装置です。大量のArを扱いながら高真空を維持する必要があり、油や潤滑剤による汚染を嫌う用途にクライオポンプが適合します。振動が少ないため、精密なステージ制御を要する装置とも相性が良好です。
溜め込み式であるがゆえに、捕捉した気体が飽和する前に定期的な「再生(リジェネレーション)」が必要です。パネルを昇温して気体を放出し、粗引きポンプで排出したうえで再び冷却するという工程で、この間その排気系は使えません。運用ではプロセスガス量から再生周期を見積もり、生産計画に織り込みます。可燃性ガスを溜め込むリスクがあるため、対象ガスの選定と安全設計も重要です。
供給はSumitomo(住友重機械)系・Brooks/Edwards系のメーカーが中心で、GM冷凍機の技術が競争力の核となります。装置の用途に応じて、ターボ分子ポンプとクライオポンプが排他的に、あるいは併用で選定されます。