薬液供給システム(CDS:Chemical Delivery System)は、洗浄・エッチング・CMP・現像で使う薬液を、貯蔵タンクから各装置の使用点まで、濃度・温度・清浄度を保ったまま安定供給するファブインフラ設備です。ドラム缶からの手動供給を排し、集中管理された配管網で送ることで、作業者の薬液曝露リスクを下げつつ、供給品質を均一化します。
取り扱う薬液は、硫酸(H₂SO₄)・過酸化水素水(H₂O₂)・フッ酸(HF)・アンモニア水(NH₄OH)・塩酸(HCl)・IPA・現像液(TMAH)・CMPスラリーなど多岐にわたります。それぞれ材質適合性が異なるため、配管はPFA・PTFEなどのフッ素樹脂が基本で、金属汚染を避けるために金属配管は極力使いません。
システムはバルクタンク、ブレンドユニット(混合・希釈)、循環ポンプ、フィルタ、供給バルブ(VMB)で構成されます。混酸のように現場で調合する薬液は、比重計や超音波濃度計でオンライン濃度管理を行い、目標濃度からのずれを自動補正します。薬液は循環ラインで常時流し続けることで、滞留による温度ムラとパーティクル沈降を防ぎます。
スラリー供給はCDSの中でも特に難易度が高い領域です。CMPスラリーは砥粒の凝集を起こしやすく、凝集粒子はウェハにスクラッチ(傷)を生じさせます。低せん断ポンプ(ダイヤフラム/ベローズポンプ)とポイントオブユースフィルタを組み合わせ、砥粒を壊さずに搬送する設計が求められます。
供給側は、栗田工業・オルガノなどの水処理・薬液系エンジニアリング企業や、装置メーカー系のインフラ部門が担います。廃液の回収・再生・処理設備とセットで設計され、ファブの環境負荷とランニングコストの両方に直結する領域です。