ロードロック室は、大気側とプロセスチャンバー(真空側)の間に設けられる中間の小型真空室です。ウェハを装置に入れるたびにプロセスチャンバーを大気開放していては、真空引きに長時間かかり、水分や酸素の吸着でプロセスが不安定になります。ロードロックは容積の小さな部屋だけを大気⇔真空で往復させることで、プロセスチャンバーを常時真空に保つ仕組みです。
動作は、①大気側バルブを開けてウェハを搬入、②密閉して真空引き、③真空側スリットバルブを開けてトランスファーチャンバーへ受け渡し、という手順を1枚ごと(または数枚まとめて)繰り返します。真空引きと大気復帰(ベント)に要する時間はそのまま装置のスループットに影響するため、容積の最小化、排気系の設計、N₂ベントの流量制御が最適化の対象になります。
ロードロックはパーティクルとウォーターマークの管理点でもあります。急激な排気は気流の乱れでパーティクルを巻き上げ、急激なベントも同様です。そのため、スローポンプ・スローベントと呼ばれる段階的な圧力変化制御が組み込まれます。乾燥N₂でベントするのは、大気中の水分がウェハ表面に吸着して自然酸化膜の成長やレジストの変質を招くのを防ぐためです。
先端プロセスでは、ロードロックを単なる出入り口ではなく、加熱・冷却・脱ガスの前処理室として機能させる設計も一般的です。プロセス前にウェハを予熱・脱水することで、成膜の初期挙動を安定させ、チャンバー内への水分持ち込みを減らします。
構成部品としては、スリットバルブ・Oリング・真空ポンプ・真空計・ベント用MFCが集約されており、装置の中でも機械的な動作回数が最も多い部位のひとつです。したがって、シール材と駆動部の寿命管理がPM計画の中核となります。