マスフローコントローラ(MFC)は、プロセスガスの質量流量を測定しながら、設定値どおりに自動制御する流量制御機器です。エッチング・CVD・ALD・拡散・イオン注入など、ガスを使うすべての工程で使われ、レシピに書かれた「sccm」という数値を物理現象に変換する、プロセス制御の最前線に立つ部品です。
内部は、流量センサ・制御バルブ・制御回路の3要素で構成されます。センサ方式で主流なのは熱式(サーマルマスフロー)で、細管の一部を加熱して上下流の温度差から質量流量を求めます。気体の比熱に依存するため、実ガスごとの変換係数(CF)を用いた校正が必要です。より高速・高精度が求められる用途では、差圧式や圧力式(プレッシャーインサート型)が使われます。
ALDのように短時間で正確なガス量を投入するプロセスでは、応答速度が品質を決めます。バルブが目標流量に整定するまでの時間(セトリングタイム)が長いと、パルス幅の短いステップで狙った量を供給できません。近年は圧力式MFCによる高速応答や、実流量をリアルタイムで検証する自己診断機能(流量の経時ドリフト検知)が採用されています。
運用上の課題は、経時ドリフトと詰まりです。腐食性ガスによるセンサ管の変質や、パーティクル・析出物による流路の閉塞は、流量誤差として現れプロセスばらつきの原因になります。オンサイトで流量を検証できるツールや、MFC内部で自己校正する機能によって、定期校正のための取り外し(装置停止)を減らす方向に進化しています。
主要メーカーはHORIBA STEC・MKS Instruments・Brooks Instrument・フジキン・CKDなど。MFC単体ではなく、バルブ・レギュレータ・フィルタとともにガスボックス(ガスパネル)としてユニット供給されることが多く、装置メーカーのガス供給系設計と一体で最適化されます。