最終更新 2026-10-10

ターボ分子ポンプとは(TMP)

Turbo Molecular Pump (TMP)

ターボ分子ポンプ(TMP)とは、毎分数万回転の多段タービン翼で気体分子を弾き飛ばし、10⁻¹〜10⁻⁸Paの高真空を得るポンプです。ドライポンプと直列に接続して使うのが装置の標準構成で、高速回転を支える磁気軸受により無潤滑・低パーティクルを実現します。H₂・Heの排気が苦手なため、ねじ溝段を加えた複合型が一般的です。

目次8項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. 紛らわしい言葉の切り分け
  4. よくある質問
  5. 設備の製造メーカー
  6. 関連用語
  7. 比較・違いを学ぶ
  8. 出典・参考資料

定義・解説

ターボ分子ポンプ(TMP)は、高速回転する多段のタービン翼で気体分子を弾き飛ばし、高真空〜超高真空(10⁻¹〜10⁻⁸Pa)を得る真空ポンプです。ドライポンプが大気圧から中真空までを担うのに対し、TMPはその先の高真空領域を担当し、両者を直列に接続して使うのが半導体装置の標準構成です。

動作原理は、分子流領域において翼が分子に運動量を与え、排気方向へ偏った速度成分を持たせるというものです。翼の周速は音速に迫る毎分数万回転に達し、この高速回転を支えるために磁気軸受(マグネティックベアリング)が広く採用されています。非接触軸受は潤滑剤が不要で、パーティクルと振動の発生を抑えられます。

TMPは分子量の小さい気体(H₂・He)の排気が苦手という特性を持ちます。そのため、翼段の後段にホルベック段(ねじ溝ポンプ段)を組み合わせた複合型が一般的で、背圧耐性を高めてバックポンプの負担を減らします。ESCのHeバックサイドガスを扱う装置では、この特性が実際の排気設計に効いてきます。

半導体プロセスでは、堆積性ガスによる翼への付着とアンバランス、腐食性ガスによる部材の腐食が課題になります。パージガスの導入、翼のコーティング、温度管理により対策しますが、高速回転体であるため、異物噛み込みによる破損は装置に重大な損傷を与えます。安全のため、ローターの破裂トルクに耐える筐体設計と保護制御が組み込まれます。

主要メーカーはPfeiffer Vacuum・Edwards・荏原製作所・島津製作所・ULVACなど。エッチング・PVD・イオン注入・分析装置など高真空を要するあらゆる装置に搭載され、装置の真空立ち上げ時間(ポンプダウン時間)を通じてスループットに直接影響します。

図解

ターボ分子ポンプ(TMP)の特徴(到達圧力・直列運転・磁気軸受・苦手な気体)
毎分数万回転で羽根を回す。エッチング・CVDなど多くの装置で使われる。

紛らわしい言葉の切り分け

ドライポンプとターボ分子ポンプ。競合ではなく役割分担の関係です。ドライポンプは大気圧から数Pa程度までを引く一次側のポンプで、ターボ分子ポンプはその先の高真空を作る二次側のポンプです。ターボ分子ポンプは単体では動かせず、必ずドライポンプと直列につなぎます。 比較記事 →

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この用語を扱う職種

装置・材料メーカー機械設計エンジニア(半導体製造装置)装置・材料メーカー真空技術エンジニア装置・材料メーカー装置のテクニカルサポートエンジニア

よくある質問(FAQ)

ターボ分子ポンプ単体では使えないのですか?
使えません。TMPは分子流領域でしか働かないため、あらかじめドライポンプで中真空まで引いておく必要があります。またTMPの排気側にも一定以下の背圧を維持する必要があるため、必ずバックポンプと直列に接続して運用します。
磁気軸受が採用される理由は何ですか?
毎分数万回転という高速回転を非接触で支えられるためです。潤滑剤が不要なのでオイルによる汚染がなく、機械的な接触が無いためパーティクルと振動の発生も抑えられます。精密なステージ制御を伴う装置ほど、この利点が効いてきます。

設備の製造メーカー

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. SEMI「SEMI International Standards: Compilation of Terms(Updated 1218)」(2026/10/10 確認)