ダイヤフラムバルブは、金属製の薄い膜(ダイヤフラム)を弁体として上下させ、流路を開閉する超高純度用バルブです。グランドパッキンのような摺動シール部を持たず、流体が触れる部分が完全に隔離されるため、外部からの汚染も内部からの発塵も原理的に起きにくく、半導体プロセスガス用バルブの標準形式となっています。
特長は、①ダイヤフラムが流路を平坦に塞ぐためデッドボリュームが極小、②摺動部が無く発塵しない、③高いサイクル寿命、の3点です。ALDのように毎秒レベルでガスを切り替えるプロセスでは、開閉応答の速さと、閉じたときの残留容積の小ささが直接的に膜質へ効いてきます。
駆動方式は空気圧作動(エアオペレート)が主流で、装置内の空圧ラインから電磁弁経由で操作されます。手動タイプはメンテナンス用のラインに使われます。ダイヤフラム材にはハステロイなどの耐食合金が用いられ、Cl₂・HBr・HF系の腐食性ガスや、SiH₄のような自然発火性ガスに対応します。
寿命を決めるのはダイヤフラムの金属疲労です。数百万〜1千万回級のサイクル寿命が謳われますが、実際は温度・差圧・パーティクルの噛み込みによって変わります。破断すれば外部漏洩となり、毒性・可燃性ガスでは重大事故につながるため、サイクル数に基づく予防交換が厳格に運用されます。
主要メーカーはフジキン・キッツSCT・CKD・Swagelokなど。単体で使われるより、ガスボックス内に集積ブロックとして多数実装される形態が一般的で、集積化によるデッドボリューム削減が各社の技術競争の焦点になっています。