ガスボックス(ガスパネル、ガスデリバリーシステム)は、MFC・バルブ・レギュレータ・フィルタ・圧力計を1つの筐体に集約し、複数のプロセスガスを所定の流量・圧力・混合比でチャンバーへ供給するサブシステムです。装置メーカーが個別部品を買い集めて組むのではなく、専門メーカーがユニットとして設計・製作・リーク試験まで行い納入する形が定着しています。
設計の要点は、①デッドボリューム(滞留容積)の最小化、②パージ性能、③金属汚染とパーティクルの抑制です。ガスの切り替え時に前のガスが残ると、ALDのように前駆体の分離が命のプロセスでは膜質が崩れます。そのため、流路長を詰めた集積化ブロック(サーフェスマウント方式)を用い、継手を減らしてリーク点とデッドボリュームを同時に削減する設計が主流になりました。
材質はSUS316Lの電解研磨(EP)管が標準で、内面粗さをRa 0.2μm以下まで仕上げることで、吸着水分の放出とパーティクル発生を抑えます。腐食性ガス(Cl₂・HBr・WF₆など)や自然発火性ガス(SiH₄)を扱うため、二重管化・排気ダクト内設置・ガス検知器との連動といった安全設計が法規要件とともに組み込まれます。
運用面では、ガスラインのパージ手順とリークチェックが品質の基礎になります。装置立ち上げ時にはHeリークディテクタで気密を確認し、水分・酸素濃度が規定値以下に下がるまでN₂パージを継続します。ガス切替時のクロスコンタミネーションを防ぐため、バルブのシーケンス(VMBの操作順序)も厳密に定義されます。
供給側はフジキン・CKD・キッツSCT・Ultra Clean Holdings・MKS Instrumentsなどが担い、装置メーカーの外注比率が高い領域です。装置1台に複数のガスボックスが載るため、装置需要と連動して市場が動きます。