Oリング・シール材は、真空チャンバーの接合部・ゲートバルブ・ビューポート・配管継手などをシールし、真空リークと外気の侵入を防ぐエラストマー部品です。一見すると汎用部品ですが、半導体装置ではプラズマ・腐食性ガス・高温・低アウトガスという厳しい条件が重なるため、専用グレードの材料が使われます。
主な材料はフッ素ゴム(FKM)とパーフルオロエラストマー(FFKM)です。FFKMはフッ素樹脂に近い耐薬品性と200〜300℃級の耐熱性を持ち、フッ素・酸素プラズマ環境でも劣化しにくいため、プロセスチャンバー内の高負荷部位に使われます。コストはFKMの数倍〜十数倍になるため、部位ごとに要求条件を見極めた材料選定が行われます。
半導体用シールで重視されるのは、①アウトガスが少ないこと、②プラズマ曝露で発塵しないこと、③金属イオンを含む充填材を避けること、の3点です。劣化したOリングは表面が粉状に崩れてパーティクル源となり、ウェハ欠陥や真空度低下を引き起こします。そのため、実際のプロセスガスとプラズマ条件で寿命試験を行い、交換周期をPM計画に織り込みます。
真空側の設計では、Oリングの圧縮率・溝形状・表面粗さがリークレートを決めます。より高真空・高温が必要な部位では、エラストマーではなく金属シール(銅ガスケット等)が使われます。ロードロックのように大気開放と真空引きを毎サイクル繰り返す部位は、機械的な疲労が最も蓄積する場所です。
供給側は、バルカーをはじめとするシールメーカーが半導体専用グレードを展開しています。単価は小さくとも、リークやパーティクルによる装置停止のコストは桁違いに大きいため、消耗品管理の中でも優先度の高い部材です。